レオパードゲッコー(ヒョウモントカゲモドキ)が突然、餌を吐き戻す様子を見たとき、飼い主は驚きと不安を感じるでしょう。ゲージの中に未消化のコオロギやピンクマウスが落ちていたら、それは明らかに「吐き戻し」のサインです。
人間の嘔吐と違い、レオパードゲッコーの吐き戻しは体力を大きく消耗するため、放置すると食欲不振や拒食に繋がることもあります。
この記事では、レオパードゲッコーが吐き戻しをする4つの主な原因と、すぐにできる対処法、また再発を防ぐための予防ポイントを詳しく解説します。
レオパードゲッコーが吐き戻す主な原因
レオパードゲッコーが餌を吐き戻す原因には、環境や餌の状態、ストレス、そして病気などさまざまな要素が関係しています。
ここでは、飼い主が特に注意すべき代表的な原因を詳しく見ていきましょう。
冷凍餌を十分に解凍していない
冷凍コオロギやピンクマウスなどを完全に解凍せずに与えると、レオパードゲッコーの体内で消化が追いつかず、吐き戻してしまうことがあります。
消化不良は、胃や腸に大きな負担をかけ、繰り返すと体力が落ちてしまいます。
与える前に、指で触ってしっかり中まで柔らかくなっていることを確認しましょう。冷たさが残っている餌は、絶対に与えないようにしてください。
餌の量が多すぎる
レオパードゲッコーの中には、自分で食べる量を調整できない個体もいます。
一度に多く与えすぎると、胃に負担がかかり、結果として吐き戻しにつながります。
適量の目安は、頭の幅と同じくらいのサイズの餌を5〜6匹程度。
食べる勢いが強い個体ほど与えすぎに注意し、次回は少なめに与えるなど、個体に合わせた調整が必要です。
ケージ内の温度が低い
温度管理は、レオパードゲッコーの健康を左右する重要な要素です。
変温動物である彼らは、体温を外気に依存しており、温度が低いと消化機能が低下します。
ケージ内が25度以下になると、餌がうまく消化できずに吐き戻しを起こすことがあります。
理想的な温度は日中で28〜32℃、夜間でも25℃前後を維持しましょう。
パネルヒーターやセラミックヒーターを併用することで、安定した温度管理が可能になります。
ハンドリングによるストレス
レオパードゲッコーは人に慣れることはあっても、基本的にスキンシップを好む生き物ではありません。
餌を食べた直後に手で持ち上げたり触ったりすると、胃の中の餌が逆流して吐き戻してしまうことがあります。
特に消化中のハンドリングは厳禁です。どうしても掃除などで動かす必要がある場合は、食後1〜2日は避けるようにしましょう。
「餌を与える日」と「ケージを掃除する日」を分けることで、無駄なストレスを減らすことができます。
レオパードゲッコーが吐き戻したときの正しい対処法
吐き戻しを確認したとき、まず大切なのは「焦らないこと」です。
飼い主の冷静な対応が、レオパードゲッコーの回復を早めます。
1. 餌を休ませて様子を見る
レオパードゲッコーが吐き戻した後は、胃腸が弱っているため、すぐに餌を与えてはいけません。
3日〜1週間程度、餌を控えて消化器官を休ませましょう。
ただし、水分は必ず与えてください。脱水症状になると回復が遅れるため、浅い皿に常に新鮮な水を用意しておきましょう。
2. 餌を再開するときは少量から
休養期間を経て、吐き戻しが見られなくなったら、少量ずつ餌を与えて反応を見ます。
このとき、栄養補助としてレプラーゼなどの爬虫類用整腸剤を少し餌にまぶすと効果的です。
レプラーゼは腸内環境を整え、消化を助ける働きがあります。吐き戻し後のダメージ回復にも役立つため、常備しておくと安心です。
3. 吐き戻しが再発する場合は病院へ
同じ症状を繰り返す場合、自己判断せず爬虫類を診察できる動物病院へ連れて行きましょう。
感染症や寄生虫、肝臓や腸のトラブルなど、見た目ではわからない病気が隠れていることもあります。
スマホで吐き戻しの様子を撮影しておくと、診断がスムーズになります。
レオパードゲッコーの吐き戻しが治らない場合の可能性
原因を取り除いても吐き戻しが治らないときは、クリプトスポリジウム症の可能性もあります。
この病気は腸の粘膜を侵す寄生虫感染症で、残念ながら現時点では有効な治療法がありません。
ただし、似た症状を引き起こす別の疾患も多いため、必ず病院で検査を受けましょう。
早期発見・早期対応で、症状の進行を食い止められる場合もあります。
レオパードゲッコーの吐き戻しを防ぐための飼育ポイント
レオパードゲッコーを健康に保つためには、日常の小さな習慣が重要です。
吐き戻しの再発を防ぐため、次のような点を意識しましょう。
餌の質と温度を見直す
冷凍餌はしっかり解凍し、餌の温度が室温と近い状態で与えます。
また、長期間保存して劣化した餌は消化に悪影響を及ぼすため、できるだけ新鮮なものを使用しましょう。
適切な環境温度をキープ
ケージの温度は常にサーモスタットで管理し、温度の上下を防ぎます。
特に冬場やエアコン使用時は、パネルヒーターだけでなく、保温球や温湿度計を併用するのがおすすめです。
ストレスの少ない生活環境を整える
大きな音や頻繁な掃除、急な光の変化なども、レオパードゲッコーにとっては強いストレスです。
静かで安定した環境を保つことで、胃腸への負担を軽減できます。
まとめ:レオパードゲッコーの吐き戻しは早めの対応が大切
レオパードゲッコーの吐き戻しは、単なる「一時的な不調」ではなく、環境・栄養・ストレス・病気など複数の要因が重なって起きています。
放置すると食欲が落ち、体力の低下につながるため、早めに原因を突き止め、正しい対処を行うことが大切です。
温度や餌の状態を見直し、落ち着いた環境を整えることで、多くの場合は改善します。
もし改善が見られない場合は、必ず動物病院で診察を受けましょう。
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