冷血動物であるアオジタトカゲへの対策としては、防寒対策が一般的だと思います。
近年は猛暑が続いており、爬虫類の暑さ対策も重要になってきています。
温度管理といえば、一般的には夏でも冬でもエアコンが最も安全で確実な方法です。
しかし、エアコンをつけっぱなしにできない事情がある方もいるでしょう。
そこで今回は、エアコンが使えない場合のアオジタトカゲの暑さ対策について解説します。
温血動物と冷血動物
温血動物とは、平均体温をほぼ一定に保つことができる動物。
体温調節機能が発達しており、周囲の気温の変化に関係なく、自ら体温を維持し、熱を生み出すことができます。
哺乳類や鳥類がその例です。
体温を常に一定に保つ必要があるため、多くのエネルギーを消費します。
温血動物は、体温が周囲の温度に比例して変化する動物。
体温調節機能がないため、自力で体温を一定に保つことができません。
一方、体温を外気と同じレベルに保つため、消費エネルギーは少ありません。
爬虫類、魚類、昆虫などがその例です。
アオジタトカゲの熱射病
アオジタトカゲを暑さで死なせてしまう飼育者も多いです。
寒さはじわじわと動物を苦しめますが、暑さは一瞬で死に至らしめます。
アオジタトカゲには汗腺がなく、体温調節ができません。
そのため、熱射病になりやすいと言われています。
特に気をつけなければならないのは、春先から起こりうる日光浴です。
いつものケージとは別のケージに入れて行うこともありますが、日本でも直射日光の当たるコンクリートは50℃に達しやすいと言われています。
屋外で日光浴をさせる場合は、必ず涼しい日陰や避難場所、水入れを用意しましょう。
また、必ず監視下で行ってください。
アオジタトカゲが不意に脱走する危険性があり、猫やカラスなどの天敵に捕食される危険性さえあります。
特に脱走は近所迷惑になるばかりか、怪我をさせることにもなりかねないため、日光浴の際は脱走だけでなく熱射病にも十分注意しましょう。
エアコンなしのアオジタトカゲ夏の温度・暑さ対策
ここからは、エアコンなしのアオジタトカゲ夏の温度・暑さ対策方法を紹介します。
アオジタトカゲの飼育において温度管理は必須です。
命を落とすリスクがあるため、危険性を考慮したうえ自己責任で試してください。
扇風機
扇風機はケージの側面や上部のネットの上に置いても構いません。
しかし、ケージ内にわずかな振動がある場合は、直接ケージに接触させないようにしてください。
アオジタトカゲは特に振動に敏感なため、ストレスになることがあります。
もちろん水槽用の扇風機もあります。
できれば静かなタイプが良いですが、ケージに直接つけないのであれば、かなり強力なUSB扇風機でも良いかもしれません。
ケージの中に風を送り込むのではなく、ケージの中の空気を吸い出すように設置してください。
サーキュレーター
サーキュレーターは主にケージの前に設置して空気を循環させるために使用します。
冷たい空気は下に流れるため、上に送ることで部屋全体の温度を下げることもできます。
なお、ケージに直接風を送るのではなく、ケージの周囲に空気を循環させるようにしましょう。
また、冬場にエアコンを管理する場合は、ケージの手前ではなく、エアコンの真下の壁に向かって送風した方が効率が良いです。
エアクーラー
ある意味、エアコンの次に強力かもしれません。
ただし、電気代がかなりかかるため、これで爬虫類ケージの周りの温度を下げるよりは、エアコンを設置したほうがいいでしょう。
氷(簡易クーラー)
これはシンプルなクーラー。
クーラーバッグや発泡スチロールの中にペットボトルやアイスパックを入れて、冷気を下に流す感じです。
簡易クーラーの直下は徐々に温度が下がります。
ケージの外の温度にもよりますが、-5℃程度を保つことができます。
問題は長時間の使用が難しいことと、結露が発生することです。
タオルを敷くことで結露は防げるが、いずれにしても氷は毎日交換する必要があります。
水入れ
これも非常に重要なポイントです。
水入れの水は生き物の命綱。
毎日必ずきれいな水に取り替えてください。
水に浸かることができる生き物の中には、水入れに浸かることで暑さを逃れることができる個体もいます。
少し大きめの水入れを使いましょう。
アオジタトカゲの適温は?夏の温度は危険?
乾燥地帯に生息する生物の適正体温は35℃前後と言われています。
そのため、バスキングライトの真下の温度は適正体温より少し高い38℃以上でなければなりません。
イグアナを使った実験では、低温で飼育すると感染動物の死亡率が上昇したことが報告されています。
低温環境で動物の体温が24℃以下に下がると、感染症による死亡率が上昇することがわかっています。
逆に体温が45℃を超えるとタンパク質の凝固などが始まり、死亡する危険性が飛躍的に高まるので注意が必要です。
夏以外の体温調整
ホットスポットの真下にある岩や石がじわじわと温まり、アオジタトカゲの腹部も温まるように工夫するとよいでしょう。
真夏日にアスファルトの上に手を置いたときに感じる灼熱のイメージです。
一方、最低気温は20℃前後まで下げても問題ありません。
砂漠には熱を閉じ込める樹木がないため、夜はとても寒いです。
しかし、夜間は地中や岩の間で眠るため、ある程度温度と湿度が保たれた環境がアオジタトカゲのシェルターになります。
20℃以下にはしない
飼育下でも20℃以下にはしない方が無難です。
アフリカの爬虫類も気温が下がると冬眠します。
冬眠は餌を制限するのと同じで、繁殖や長寿のためにはとても重要な要素です。
しかし、初めて飼育する場合はリスクもあるため、特にアオジタトカゲが若いうちは一年中保温してあげた方がいいでしょう。
また、爬虫類だけでなく私たちのような哺乳類も、体温を上げることで細菌感染に対する自らの免疫システムを活性化させることができます。
ケージ内の温度勾配は非常に重要な要素です。
アオジタトカゲの夏の温度や暑さ対策で命を守ろう
アオジタトカゲは寒さ対策に目が行きがちですが、ケージという限られた環境では暑さ対策が難しく、命を落としやすいです。
そのため、エアコンを使用するのが最も効率的で安全な方法だといえるでしょう。