個人事業主や自営業者は、債務整理をする際に売掛金があると「財産である」と判断され、債務整理手続きが終わった後に返済しなければならない金額が増えるケースがあります。
手続きの方法によっては自営業を続けていけるかどうかという点にも関わる問題です。
どのような手続きを行えば良いのか、弁護士や司法書士に問い合わせたうえで対処してもらうことが重要だといえるでしょう。
自営業者や個人事業主の債務整理について
自営業者や個人事業主でも、任意整理や自己破産、特定調停、個人再生などの債務整理を行います。
任意整理は避けるケースが多い
自営業者や個人事業主が借りているお金の金額が非常に大きい時には、任意整理をの手続きが行えない場合があります。
任意整理は、借りているお金の額が少ない場合に行う手続きであるためです。
借り入れ金額が大きいケースでは、自己破産や個人再生といった別の債務整理を行うことが一般的だといえるでしょう。
債務整理を行っていても業務は継続できる
債務整理を行っている最中であっても、事業そのものは継続できるので問題ありません。
ただし、債務整理の手続きの種類によっては、自分の土地や店舗をお金に変えて債権者に支払う必要があります。
そのため、事業の内容によっては継続が困難になるケースもあるでしょう。
自己破産をした場合、一定の職業には就けないといった制限がある点にも注意が必要です。
保険代理店、弁護士や税理士といった士業関連の仕事はできません。
売掛金が残っている時の注意点
売掛金が残っている場合、債務整理手続きの際に財産と判断され、返済する金額が多くなるケースがある点に注意が必要です。
さらに、手続きが難しくなる場合もあるので注意しましょう。
個人再生をする場合
個人再生は、借りているお金の金額を大きく減額できる点が最大のメリットであるものの、売掛金がある場合は返済額が増額されるケースもあるので注意が必要です。
個人再生は、保有している財産よりも多くのお金を返済しなければなりません。
売上があがり、債務整理前の売掛金が増加することによって、財産があると判断されて返済額が増額されます。
現金を持っていなかったとしても、売掛金は財産として判断されてしまうのです。
結果として売掛金が増加し、再生スケジュールも立てにくい状態になるでしょう。
自己破産をする場合
自己破産の手続きをする際には、売掛金20万円以上の場合は管財事件として扱われるので、売掛金の回収を行い、債権者に渡さなければならないことが特徴です。
さらに、お金を借りてる人は管財予約金を支払う必要があります。
管財事件は裁判所が定めた破産管財人が売掛金を回収することが一般的ですが、お金を貸している相手に対して、債権者が催促や少額訴訟を起こす可能性もあるでしょう。
場合によっては手続きの期間が長くなるので注意が必要です。
金融業者に交渉できる弁護士に依頼しよう
金融業者は、債権譲渡と呼ばれる方法で売掛金を担保にするといったケースもあります。
売掛金を担保にされた際に対応してくれるような弁護士に相談する方法が有効です。
個人事業主や自営業者は個人の債務整理とは異なり、動く金額も大きくなるので、債務整理をする場合は様々な問題が発生する可能性があります。
問題が発生した際にスムーズに相談対応できるような司法書士や弁護士といった専門家に依頼をして、可能な限り早く借金のトラブルを解決しましょう。