大規模修繕を行う際、玄関ドアも修繕すべきなのか悩むケースも多いのではないでしょうか。
しかし、各戸の玄関ドアは経年劣化しますが、修繕をしなければマンションの資産価値にも影響を及ぼすため、工事を行う前に状態をチェックしましょう。
今回は、大規模修繕時の玄関ドア工事について、工事すべきケースや費用相場を解説します。
マンション大規模修繕で玄関ドアの工事が必要なケース
玄関ドアに傷やサビ、開閉の不具合がある場合は、大規模修繕の際に工事が必要です。
玄関ドアの劣化はマンションの資産価値の低下にもつながるため、大規模修繕の際には必ず修繕しましょう。
さらに、部屋の玄関ドアの見た目が悪いと入居率も下がります。
マンション玄関ドアの工事が必要なケースとして、以下が挙げられます。
●サビが発生している
●断熱性・遮音性が低い
●スムーズに開閉できない
鍵やドアの老朽化による防犯上の不安
大規模修繕では、外壁や屋根、内部配管など建物の寿命に影響する場所の工事だけではなく、場合によっては玄関ドアの修繕も行わなければなりません。
マンション大規模修繕で玄関ドアの工事方法
マンションの大規模修繕で行われる玄関ドアの修繕内容は、下表のように修繕回数によって異なることが多いです。
築年数によって玄関ドアの劣化度合いが異なるため、修繕回数によって修繕内容も変わってきます。
ここでは、玄関ドアの工事内容や、工事の工法を紹介します。
玄関ドアの工事内容
1回目、2回目の大規模修繕の際に修繕を行い、玄関ドア自体を交換するケースが多いです。
大規模修繕1回目
最初の大規模修繕では、傷やサビがある場合が多いため、玄関ドアの表面を補修するのが一般的です。
傷やサビをそのままにしておくと、ドア全体の腐食につながり、劣化を早めてしまいます。
そのため、補修作業を行い、必要に応じてトップコートの塗り替えを行います。
玄関ドアの寿命を延ばすためには、最初の大がかりな修理の際に、その状態を十分に把握し、適切な処置を施すことが大切です。
また、大規模修繕をする場所は基本的に玄関ドアの外側だけですが、借主の許可があれば内側も同時に修繕するのがよいでしょう。
大規模修繕2回目
2回目の大規模修繕では、調子が悪くなってきたドアノブや付属部品を交換・修理することが多いです。
ドアノブや付属品にサビが発生すると、鍵が回りにくくなったり、鍵穴に鍵が入りにくくなったりします。
なお、付属品、ドアノブの交換する場合は、居住者にも知らせましょう。
大規模修繕3回目
3回目の大規模修繕では、玄関ドアを交換することが多いです。
3回目になると築40年近くになるため、新しい玄関ドアに交換することで外観や機能性が向上し、マンションの資産価値の維持や向上にも効果があります。
ただし、交換工事中はドアを開けたままにするため、居住者の承諾が必要です。
玄関ドア工事の工法
大規模修繕で玄関ドアを修理する方法は3つあります。
ここでは、それぞれの方法について詳しく説明します。
カバー工法
カバー工法とは、既存の枠の上に新しい枠をかぶせ、玄関ドアを取り付ける工法です。
カバー工法は工期が短いことがメリットです。
既存の枠を利用できるため、枠を撤去する必要がありません。
工期が短く、すぐに玄関ドアを交換したい場合におすすめの工法です。
ただし、カバー工法の欠点は、新しい枠を取り付けたときに玄関ドアの強度が下がるリスクがあることです。
ドアを新建材に交換するわけではないため、玄関ドアの強度は既存の枠に依存します。
そのため、経年劣化が著しい玄関ドアにはカバー工法は不向きです。
ドア交換工法
ドア交換工法は、既存の枠を残したままドアだけを交換する工法です。
ドア交換工法のメリットは、工期が短いことです。
枠を新しいものに交換する必要がないため、短期間で工事が完了します。
デメリットは、既存の枠の劣化を隠せないことです。
既存のフレームがそのまま残るため、劣化が著しいと見栄えが悪くなるでしょう。
引き抜き工法
引き抜き工法は、既存の枠やドアをすべて撤去し、新しいものに交換します。
引き抜き工法のメリットは、新しいドアに交換できることです。
枠もドアもすべて新建材に交換するため、見た目も機能性も新築時と変わりません。
デメリットは費用がかかることです。
建材をすべて新しいものに交換するため、材料費と人件費がかさみます。
玄関ドアの劣化が激しい場合や、大規模修繕で建物の資産価値を高めたい場合に取り入れると良いでしょう。
マンション大規模修繕の玄関ドア工事にかかる費用相場
玄関ドアの修繕に必要な金額は、劣化の程度によって異なります。
玄関ドアの大規模修繕の平均的な費用は以下の通りです。
玄関ドアの塗装工事:5~10万円
玄関ドアの交換工事:35~50万円
上記の金額はあくまでも目安であり、ドアの大きさ、材質、機能などによって費用は異なります。
大規模修繕の見積もりを取る際には、玄関ドアの修繕費用についても聞いておくとよいでしょう。
マンション大規模修繕の玄関ドア工事内容の選び方
大規模修繕の場合、ただ玄関ドアを新しいものに交換すればいいというわけではありません。
玄関ドアの修理を成功させるために、大切なポイントを押さえておきましょう。
大規模修繕として玄関ドアを修繕する場合のポイントを5つ紹介します。
性能の高さ
玄関ドアを選ぶときは、性能をチェックしましょう。
居住者が快適に暮らせるよう、気密性や遮音性など、玄関ドアの性能が高いかどうか確認します。
玄関ドアから外の声や足音が聞こえると、住みにくい部屋になってしまいます。
また、ドアの気密性が低いとエアコンの効きも悪くなり、生活の質が下がるため注意が必要です。
玄関ドアの良し悪しで、住みやすさは大きく変わります。
大規模修繕をきっかけに、より高性能な玄関ドアへの交換がおすすめです。
防犯性の高さ
玄関ドアを選ぶ際には、防犯性も必ずチェックしましょう。
オートロックやピッキング対策が可能な玄関ドアを選択すれば、居住者も安心して暮らせるでしょう。
特にエントランスがオートロックではないマンションは、誰でも各階に入ることができます。
居住者に安心して生活してもらうためにも、玄関ドアは防犯性の高いものを選ぶことが大切です。
耐衝撃性の強さ
玄関ドアが衝撃に強いかどうかもチェックしましょう。
地震の多い日本では、衝撃に強い玄関ドアを設置することがおすすめです。
大地震で玄関ドアの枠が歪んでしまい、部屋から出られなくなった事例もあります。
築年数が経過している玄関ドアは、特に注意が必要です。
耐震性能の高さ
いざという時に備えて、耐震性能の高さも重要なポイントです。
地震が起きると、玄関ドアが変形し、部屋に閉じ込められることがあります。
耐震ドアであれば、地震が起きてドアが変形しても開閉が可能であり、室内に閉じ込められることによる二次災害のリスクを減らすことができます。
バリアフリー
介護や介助が必要な方や高齢者が多く住んでいるマンションでは、バリアフリーも検討しましょう。
開閉しやすいレバーハンドルやプッシュタイプのドアの設置を検討することが大切です。
マンション大規模修繕の玄関ドア工事のトラブル
玄関ドアは居住者の生活に直結するため、大規模修繕の工事対象になった際にトラブルが起こることがあります。
ここでは、玄関ドア工事で起こりうるトラブルと、トラブル解決法を紹介します。
玄関ドアの交換を拒否された場合
大規模修繕の際、借主が玄関ドアの交換を拒否した場合の対応を検討しましょう。
大規模修繕の際、一部屋だけ玄関ドアの工事しなわけにはいきません。
そのため、玄関ドアを交換する場合は、全室の居住者の了解を得る必要があります。
しかし、さまざまな事情で、室内に入れたくない人も多いです。
そのため、玄関ドアの交換を断られた場合の対応について、不動産管理会社と相談しておくとよいでしょう。
新しい鍵の受け渡し
大規模修繕で玄関ドアを交換する場合、新しい鍵の受け渡し方法も決めておきます。
居住者のライフスタイルによっては、管理人の勤務時間内に鍵を渡すことができない場合もあります。
原則として、新しい鍵は区分所有者に渡さなければなりません。
やむを得ず代理人や隣人に預ける場合は、委任状を準備してもらう必要があります。
居住者に新しい鍵の受け渡し方法を事前に伝えておくと、安心感を与えられるため玄関ドアの工事がスムーズに行えるでしょう。
まとめ
マンション大規模修繕での玄関ドアの修繕や交換の際には、居住者に工事内容を丁寧に説明することが大切です。
大規模修繕の際には、外装だけでなく玄関ドアも修繕することで、資産価値の維持・向上を図りましょう。