紫陽花は梅雨の時期を代表する花として日本人に古くから愛されてきました。
庭や鉢植えで育てやすい反面、意外にも手入れを怠ると樹形が乱れたり、翌年に花が咲かなくなることもあります。
紫陽花を美しい状態に保つためには、適切な剪定や水やりなど、日々の管理がとても大切です。
ここでは紫陽花を長く楽しむための手入れ方法や、紫陽花の花の仕組みについて詳しく解説します。
紫陽花の剪定が重要な理由
紫陽花は放っておいても花を咲かせますが、成長が非常に早いため、何年も剪定をしないと枝が混み合って樹形が崩れやすくなります。
さらに紫陽花は「新しく伸びた枝に花が咲くのが2年後」という特徴を持つため、枝をむやみに切ると花が咲かなくなることもあります。
翌年以降も安定して花を楽しむためには、適切な時期に剪定を行うことが欠かせません。
花後の剪定で翌年の花を守る
紫陽花の剪定は、枯れた枝や花を取り除くことで病害虫の発生を防ぎ、次の開花に向けた準備にもなります。
とくに花後の剪定は翌年の花芽を残すために重要な作業です。
花が終わる時期の見極め方
紫陽花は花びらが散らずに色褪せていくため、「花の終わり」がわかりにくい植物です。
普段花だと思われている部分は実は「がく」であり、がくの中心にある小さな粒のような部分が本当の花です。
これらが茶色くなり、しおれてきたら剪定のタイミングだと判断できます。
紫陽花の剪定方法
紫陽花の剪定は年に2回行うのが理想です。
まず花が終わったら、花の2節下にある脇芽を確認し、その少し上で切ります。
これが「花後の剪定」です。
さらに11月から2月の休眠期には「冬剪定」を行い、不要な枝や古い枝を整理します。
こうすることで風通しが良くなり、病気や害虫の予防にもつながります。
剪定後に行うべき手入れ
剪定後は植え替えや水やりの管理も欠かせません。
鉢植えの紫陽花は成長が早いため、2年に1度を目安に一回り大きい鉢へ植え替えを行います。
紫陽花は水はけの良い土を好みますが乾燥には弱いので、夏場は朝夕2回の水やりが必要になることもあります。
また、紫陽花は灰色かび病やうどんこ病などの病気にかかりやすく、アブラムシやハダニなどの害虫も付きやすいため、早めの発見と対策が重要です。
紫陽花の花は両性花と装飾花
紫陽花の花房には「両性花」と「装飾花」があります。
両性花は小さく目立たない花で、種子を付ける役割を担います。
一方、一般的に花と認識される部分は装飾花と呼ばれ、種子を付けない代わりに虫を引き寄せるために大きく華やかな姿をしています。
装飾花の花びらは実はがく
紫陽花の装飾花に見える花びらは、実際には「がく片」です。
真ん中に小さく咲いているのが本当の花であり、紫陽花は「がくを楽しむ花」と言われる所以です。
色鮮やかながくを長く楽しむためにも、日々の手入れが欠かせません。
ガクアジサイとは?
ガクアジサイは中心部に両性花が集まり、その周囲を装飾花が取り囲むように咲く品種です。
日本に自生する品種として古くから親しまれ、控えめで上品な姿が人気です。
ただし乾燥に弱いため、水やりを欠かさず、風通しの良い環境で育てることがポイントです。
紫陽花はがくを楽しむ花
紫陽花は一般的な花のように花びらを楽しむのではなく、色鮮やかに変化する「がく」を鑑賞する花です。
梅雨の庭を華やかに彩る紫陽花を長く楽しむためには、適切な剪定とまめな水やり、そして病害虫の予防が大切です。
正しい手入れを行えば、毎年美しい花姿を見せてくれるでしょう。