マンションの大規模修繕や改修工事を行った後は、アフターメンテナンスを行うことが重要です。
アフターメンテナンスの内容が十分ではない施工業者に依頼をすると、大規模修繕後にトラブルが起こることがあるため注意しましょう。
大規模修繕を依頼する際には、アフターメンテナンスの内容以外にも重要なチェックポイントがあります。
優良業者を選ぶ方法を確認し、見積もりを比較する際の参考にしましょう。
マンション大規模修繕の注意点
マンションでは定期的に大規模修繕を行う必要があり、工事にはメリットがあります。
しかし、マンションの大規模修繕を行う注意点も確認しておきましょう。
費用が高い
大規模修繕は大掛かりな工事になるため、費用がかかります。
マンションの場合、基本的には修繕積立金でまかなわれますが、足りない場合は居住者から一時金を徴収することもあるでしょう。
分譲マンション、賃貸マンションにかかわらず、事前に資金計画を立てなければなりません。
自治体からの補助金が出ることもあるため、日頃から情報収集をしておく方法が有効です。
準備に時間がかかる
大規模修繕を行う場合、マンション修繕委員会を発足し、依頼する業者選び、資金計画を建てるなどの準備を行います。
住民の協力なくして修繕工事は円滑に進まないため、内容や工期について居住者の理解を得ることが重要です。
トラブルの発生
大規模修繕は騒音や粉塵、臭気などが発生するため、居住者や近隣住民とのトラブルが発生する可能性があります。
大規模修繕は主に共用部分で行われますが、各住戸のエントランス周辺も含まれるため、臭いが気になることもあるでしょう。
トラブルを避けるためにも、居住者への事前連絡や近隣への挨拶、協力をお願いすることが重要です。
また、事前にトラブルを想定し、対策をしておくのも良いでしょう。
大規模修繕を依頼する施工業者の選び方
マンションを建てた会社にこだわらない
外装修繕工事や防水関連工事など、大規模修繕にはいくつかの選択肢がありますが、工法は一般的に確立されています。
そのため、マンションを建てた会社以外でも大規模修繕は可能です。
大規模修繕を行う際に、施工会社が保身のために改修や改良に関する重要な情報を隠す事件もありました。
建設会社の子会社である管理会社は、当然親会社を推薦します。
管理組合としては、マンションの施工業者にこだわらず、あくまで選択肢のひとつと捉えましょう。
フラットな立場で、複数の選択肢を検討することで、工事内容や費用が適正になる可能性が高まります。
区分所有者や理事との関係が深い業者は避ける
大規模修繕の場合、管理会社から業者を提案されることが多いです。
大規模修繕の計画を立て始めると、管理組合内部から「業者を紹介したいため、1度会いたい」という連絡がくることがあります。
注意すべき点は、区分所有者、特に理事との関係が深い業者の選定は避けるべきだということです。
理事長の紹介で選定された業者が、ローコストで質の高い工事をしていると区分所有者から賞賛されるケースはほとんどありません。
「工事内容、工事価格等を決定するプロセスは適切ではないのでは」と、疑惑を持たれるだけであると考えた方が良いでしょう。
業者の規模をチェックする
マンションの大規模修繕工事は、万が一事故が発生した場合、死傷者が出るような重大な損害が発生する危険性があります。
事故が起こった場合の補償や、事故後の工事継続を考慮すると、大規模修繕工事は規模の大きな業者を利用した方が無難です。
ただし、大手になればなるほど中間マージンが高くなり、工事価格も高くなります。
歴史が長く、マンションリフォームの実績がある業者を複数比較すると良いでしょう。
なお、大手ゼネコンに声をかけると、中小規模のマンションであれば、100%子会社である系列のリフォーム会社を紹介することが多いです。
親会社が子会社の工事を請け負う体制をとっている会社もありますが、工事費が高額になる可能性があります。
大規模マンションで修繕積立金が潤沢にある場合や、施工できる会社が限られている場合以外は、大手ゼネコンの利用は避けた方が無難です。
プレゼンテーションで社風を見極める
大規模修繕では、信頼できそうな業者を複数比較した結果、単純に価格の安い業者を選んでしまうケースがあります。
大規模修繕は時間がかかり、住民にとってもストレスのかかる工事なため、やり方を間違えると価格に関係なく住民から批判されるような工事になるでしょう。
複数の工事業者候補が決まった後は、管理会社からの報告書を提出するだけではなく、各候補会社に理事会や修繕委員会に出席してもらいプレゼンをしてもらいます。
プレゼン資料には、会社案内に加え、工事中の安全対策など、業者が力を入れていることを盛り込むと良いでしょう。
合理化によるコストダウンで安価な工事を提供している、安全管理に関する社員教育を徹底しているなど、アピールポイントがあるはずです。
プレゼン資料には、社風が反映されているため、社風に賛同できる企業を選ぶ必要があります。
直近の施工実績
マンションの大規模修繕は、入居者が入居している間に行われます。
工事の進め方や入居者との接し方などのノウハウや経験がないと、トラブルやクレームが続出するでしょう。
マンションの大規模修繕をどの程度実施しているかを確認し、大規模修繕に関する運営能力の判断材料とします。
現場監督予定者の人柄や能力を知る
工事会社のプレゼンテーションを行う際には、工事会社の営業担当者だけではなく、実際に工事を受注する現場責任者(予定者)にも同席してもらいましょう。
大規模修繕を成功させるためには、現場監督など工事担当者の人柄や能力がポイントになります。
どれほど丁寧に工事を進めても、最新鋭の機材を使用しても、工事中の騒音や振動、臭気などの問題は避けて通れません。
テナントや近隣住民にストレスを与えることなく、大規模修繕時の問題を克服するには、現場管理者のコミュニケーション能力、テナントとの意思疎通能力が重要です。
また、管理会社への適切かつ的確な報告や必要な支援を要請する能力とセンスが非常に大切になるでしょう。
単に工事掲示板を設置し、入居者に日々の進捗状況を伝えるだけでは不十分です。
最悪の場合、近隣住民から「工事を直ちに中止してください」といわれることになります。
また、工事の見積もりにも参加していただくことになります。
工事担当者の人柄や能力を慎重に見極め、場合によっては工事発注の条件として担当者の変更ができる契約を結びましょう。
大規模修繕後のトラブルを防ぐためにアフターメンテナンスを続けよう
大規模修繕工事後にトラブルが発生した場合は、施工会社に連絡し、迅速かつ適切に対応してもらわなければなりません。
管理組合は、大規模修繕工事後に発生したトラブルにスムーズに対応できるよう、施工会社の「保証期間」と「アフターメンテナンスサービス」を確認しておく必要があります。
大規模修繕の目安は12年ごとなため、アフターメンテナンスを行わないと10年以上メンテナンスの機会がありません。
その間、劣化が進行したり、思わぬトラブルが発生する可能性もあります。
アフターメンテナンスが万全で、大規模修繕後も安心して相談できる施工業者に依頼をしましょう。