狆の気をつけたい病気は、小型犬に多い膝蓋骨脱臼や気管虚脱のほか、目の病気などがあります。
狆がなりやすい病気の主な種類と、原因・予防法・治療法を解説します。
狆がなりやすい病気①気管虚脱の症状
以下のような症状が見られたら、気管虚脱の可能性があります。
最初は乾いた咳が出る
さらに症状が進行すると、呼吸が荒くなり、ゴホゴホと音がするようになり、気管がさらに圧迫されるようます。
気管虚脱を発症すると、激しい運動をしていないにもかかわらず、呼吸が苦しくなります。
気管虚脱の原因は、トイ犬種に多いことから遺伝的なものと考えられていますが、正確な原因はまだわかっていません。
気管虚脱の予防法
合わない首輪は、狆の首を締め付け、気管を圧迫します。
首輪を狆の首に装着し、飼い主の人差し指と中指が通るようにサイズを調整します。
首輪が痛くなるのを恐れて緩くしすぎると、散歩中に首輪が頭から落ちてしまうことがあります。
愛犬の首が痛くならないように、また頭からすっぽり抜けてしまわないように注意しましょう。
首輪のサイズを調節しても、散歩中にリードを強く引っ張りすぎると、犬の首に負担がかかり、気管を圧迫してしまいます。
激しい運動をしない
激しい運動をしたり、頻繁に興奮状態になると呼吸が荒くなり、気管に負担がかかります。
犬にとって運動は大切ですが、過度な運動は避け、遊びの時間には休憩を入れるようにしましょう。
また、高温多湿も原因と疑われています。
そのため、生活環境や運動環境の温度・湿度に注意することが必要です。
太りすぎは犬の体に大きな負担をかけ、首まわりの余分な脂肪は犬ののどを圧迫し、気管にも悪影響を及ぼすといわれています。
食べ過ぎで肥満にならないよう、適度な食事量と毎日の散歩、適度な運動を心がけましょう。
また、運動は愛犬のストレスを軽減させ、精神衛生上にも良い効果があります。
狆がなりやすい病気②角膜潰瘍
角膜潰瘍は、角膜が傷つき、細菌が侵入して炎症を起こす病気です。
放っておくと視力が低下し、最悪の場合失明することもあります。
目の大きな犬種に起こりやすいため、常に注意が必要です。
なぜ症状が出るのか?原因は?
犬の目は環境や異物、病気などの影響を受けやすいため、角膜潰瘍の原因は様々です。
その中で最も多いのが外傷です。
犬の角膜潰瘍は、ドッグランなどで他の犬と遊んだりケンカをしたりしたときに、目を殴られたり爪でひっかかれたりすることで起こります。
その他の原因としては、まつ毛が内側に生えている(逆さまつげ)などの異常、眼球内に異物が入る、眼瞼内反症(まぶたが内側に動く状態)などの炎症などがあります。
また、トリミング時のシャンプーやドライヤーの刺激で起こることもあります。
予防方法
特に気をつけなければならないのはドライアイです。
角膜潰瘍だけではなく、他の病気の原因にもなりますため、1日1~2回は目薬をさすようにしましょう。
また、外部からの外傷や刺激が原因の場合もあるため、異常を感じたら早めに動物病院を受診することをおすすめします。
角膜潰瘍は目薬である程度は治療できる
症状がひどくなると角膜除去手術や、人工レンズが必要になることもあります。
悪化すると眼球を摘出することもあるため、そのような事態を避けるためにも、日頃から予防に努め、必ず動物病院で早期発見・早期治療を心がけましょう。
狆がなりやすい病気③白内障
犬の白内障とは、本来透明である水晶体が様々な原因によって不透明になる病気です。
簡単に言うと、目が白くなってしまう状態です。
水晶体は目の中でレンズの役割をしており、これが不透明になると視力が低下します。
1度水晶体が不透明になると、薬で透明にすることはできないため、根本的な治療として手術治療が必要になります。
しかし、現実には白内障の犬の10%程度しか手術治療を受けていません。
現在、ほとんどの子が無治療か内科的治療を受けています。
内科的治療で最も重要なことは、白内障の進行を防ぐことではなく、合併症を予防することです。
予防法
特に、白内障が進行するといずれ発症するといわれている「水晶体ぶどう膜炎」には最も注意が必要です。
白内障の原因のひとつは “紫外線の浴びすぎ “と考えられています。
そのため、紫外線の弱い朝や夕方に散歩や外出をするのが効果的でしょう。
また、目に良い成分を含むサプリメントを与えるのも良いかもしれません。
遺伝的な要因で発症する白内障は予防が難しいため、定期的に獣医師に診てもらうことが大切です。
定期健診を受けることで、白内障だけではなく、加齢とともに現れる他の異常も早期発見できる可能性があり、大きなメリットがあります。
狆がなりやすい病気④膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)
膝蓋骨(しつがいこつ)とは、一般的に膝頭と呼ばれる部分を指します。
膝蓋骨脱臼は、膝関節が横にずれて脱臼する病気で、小型犬に起こりやすい病気です。
膝蓋骨脱臼の原因
犬の膝蓋骨脱臼の原因には、先天性のものと後天性のものがあります。
・先天性
生まれつき、膝関節を覆う筋肉や骨の形に異常があり、脱臼を起こします。
・後天的
後天的な原因は、身体のケガや生活習慣(生活環境)によって起こります。
室内でも、狆が高いところから飛び降りたときなど、足や膝を強く打ったときに起こります。
また、滑りやすい床での生活など、環境的な要因で発症することもあります。
予防方法
生活環境が原因で発症する犬の膝蓋骨脱臼を予防するためには、その犬に合った生活環境を整えることが大切です。
例えば、滑りやすいフローリングの上を歩いたり走ったりすると、愛犬が滑って脱臼することがあります。
そのため、愛犬がよく歩く場所を滑りにくくする(マットを敷く、滑りにくい床材を用意するなど)ことで、足への負担を減らすことができます。
また、爪が伸びたままだったり、肉球の間の毛が伸びていたりすると、散歩の際に引っかかったり、滑ったりする可能性が高いです。
日頃から爪切りや肉球の裏の毛切りをするようにしましょう。
飼い主さんは、愛犬の歩き方を常に注意深くチェックしましょう。
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狆がなりやすい病気に注意して健康診断も受けよう
狆がなりやすい病気を4つ紹介しましたが、ほかにも犬の病気は沢山あり、予防や早期発見、早期治療をすることが大切です。
また、狆は鼻が短いため、暑さに弱い傾向があります。
長時間の激しい運動や熱中症に注意しなければなりません。
少しでも異変があれば対処するほか、定期的に健康診断を受け、健康を守りましょう。
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