うさぎの主食は牧草ですが、実際には牧草だけを食べないこともあります。
このような場合、うさぎの健康上の問題を引き起こす可能性があり、あまり良い状況とは言えません。
そこで今回は、うさぎが牧草だけ食べない、ペレットやおやつばかり食べるときの対策を紹介します。
うさぎが牧草だけ食べないとどうなるの?
うさぎが牧草だけ食べないと、以下の病気の発症リスクを高めます。
胃腸うっ滞: 食べたり飲み込んだりしたものがうまく排出されず、詰まってしまうこと
牧草はうさぎにとってなくてはならない主食です。
不正咬合とは
牧草を食べることで、1年中伸び続ける歯を適切な長さに保つことができます。
そのため、牧草を食べないと歯並びが悪くなり、不正咬合という病気になることがあります。
うさぎが不正咬合になると、きちんと食事ができなくなります。
症状が進むと歯根が炎症を起こし、膿がたまって治らなくなることがあります。
これを膿瘍といい、歯根の病気を歯根端膿瘍といいます。
うさぎが牧草を食べないことの問題は、このようなことが起こる危険性があることです。
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胃腸うっ滞
牧草には食物繊維も豊富で、うさぎの消化を助けます。
牧草を食べないと、消化管が正常に機能しなくなります。
これは胃腸うっ滞という病気につながる可能性があります。
うさぎの胃の中に物が詰まると、うさぎの胃腸の機能が停滞します。
うさぎは胃の中のガスの痛みで動けなくなります。
食欲不振(ご飯を食べる元気がない)と共に症状が悪化します。
このように、胃腸うっ滞は命にかかわる病気です。
つまり、うさぎが牧草を食べないと、健康に直結する問題が発生するのです。
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うさぎがチモシー牧草だけ食べない原因と対策
うさぎが牧草を食べないことは良いことではありません。
ここでは考えられる原因と対処法を挙げてみます。
うさぎの体調が悪い
うさぎの胃腸のうっ滞は、季節の変わり目に突然起こることがあります。
うさぎの胃腸が停滞すると、牧草を食べなくなります。
実際、ペレットが食べられなくなったり、水が飲めなくなったりすると、文字通り動けなくなります。
また、“不正咬合”も時々起こります。
遺伝的な問題 → ネザーランド・ドワーフやドワーフ・キャットなど、顎の小さいうさぎは奥歯に不正咬合が出やすい
このように、予防を心がけていても起こってしまうのです。
うさぎの具合が悪いと思ったら、病院に連れて行くことをお勧めします。
突発性うっ滞は自然に回復することもありますが、病院で診てもらった方が安心です。
うさぎが草に飽きた
上の話と似ていますが、うさぎがチモシー牧草の味に飽きてしまった可能性があります。
基本的にうさぎは毎日同じ草を飽きずに食べます。
これはペレットでも同じですが、うさぎによっては急に味に飽きてしまうことがあります。
下記のように健康に問題がないようであれば
・散歩や遊びをする元気がある
・牧草以外の食べ物を普通に食べる
・うんちやおしっこはいつも通りする
嗜好性の高い牧草などを与えると改善する場合があります。
チモシーよりも味の良いアルファルファを一時的に食べさせるのも良いかもしれません。
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牧草の質や状態に問題がある
牧草の質や状態に問題がないかどうかもチェックしましょう。
牧草は自然のものなので、同じ商品でも季節やロットによって味が異なることがあります。
・雑草や木片までいっぱい入っている
安い牧草を買うと、本当に使えないものが届くこともあります。
このような場合、そのまま与えてしまうと、うさぎが食べないということになりかねません。
ですから、使えない部分はあきらめて捨ててしまうのが有効な対策です。
牧草を40~50cmなど長く刈ってしまうと、長すぎて食べられない場合があります。
長すぎる草は短くすると食べてしまう可能性があるので、食べやすい長さに切りましょう。
逆に短すぎる場合は、その長さゆえに食べられないこともあるため、床材として利用するのがおすすめです。
特に品質の安定した牧草を選ぶことが大切です。
牧草の保存状態に問題があり
牧草地の保存状態に問題があることを示すパターンです。
・ジッパー付き
・脱酸素剤入り
市販の牧草は品質劣化を防ぐために改良されていることが多いです。
ただし、袋に入っているだけのものもあります。
例えば、業務用の大容量、数kg単位の商品など。
こういうものは保管場所を間違えると、品質が劣化してまずくなることがあります。
異臭がするようになったら、そのままでは使えないかもしれません。
牧草の鮮度を保つために以下のことを心がけてください。
・保管場所の確保が難しい場合は、一度に購入するのは3kgまで
劣化しにくい牧草を買うか、劣化しにくい場所に保管するかが大切です。
牧草の変更
うさぎは用心深い生き物なので、知らないものはあまり食べません。
「牧草が知らないものに変わってしまった」などと、牧草を食べたくても食べられません。
警戒心から牧草を食べない場合の解決策は、餌を正しく切り替えることです。
手元に新しい牧草しかない場合は、古い牧草に戻してあげると良いでしょう。
うさぎが警戒している場合は、落ち着かせる必要があります。
牧草が好みに合わない、または好みが変わった
うさぎが牧草を食べないのは、牧草がうさぎの嗜好に合わない、あるいは嗜好が変わったためである可能性が高いです。
うさぎは人間よりも味覚に優れたグルメな生き物です。
味を感じる器官(味蕾)は人間が1万個なのに対し、うさぎは1万7千個もあると言われています。
そのため、うさぎはお腹が空いていても食べたくないものは食べません。
うさぎに与えている牧草が、うさぎの食べたがっているものでないかもしれないという話です。
チモシーに似たイネ科の「嗜好性の高い牧草」を試してみるのも効果的です。
・小麦乾草(収穫された小麦の緑色で、ほんのり甘い)
・ツルグラス(独特の味と香りを持つヘルシーなもの)
普通のチモシー牧草とは味が違うので、食べてくれる可能性があります。
また、年齢とともに顎の力が弱くなるなど、うさぎの好みが変わることもあります。
そのような場合、アメリカ産のチモシーを使用しているのであれば、以下のように産地を変えてみてはいかがでしょうか。
・北海道産(こちらも柔らかく食べやすい、茶色っぽく独特の香りがある)
うさぎが食べていない草が1番刈りの場合、2番刈り、3番刈りで草を柔らかくするのも効果的です。
(※刈る順番によって草は柔らかくなります)
このようにして、うさぎが食べられる草を探します。
・チモシーの茎は食べない
・チモシーの穂しか食べない
この場合、柔らかい牧草を食べるようになるので、牧草を変えるのが良いでしょう。
うさぎの好みや産地、刈り取り時期などから、うさぎの食べる牧草を探してあげましょう。
うさぎが食べなくなったチモシー牧草を復活させる方法
牧草にひと手間加えることで、食べてくれるようになるかもしれません。
うさぎが食べなくなった牧草を復活させる方法を2つ紹介します。
天日干しする
牧草の鮮度が食べ具合に大きく影響します。
うさぎの嗅覚は人間の10倍優れていると言われ、草の香りにも敏感です。
草を暖かい日光に当てることで、香りがよみがえります。
ただし、効果は一時的なものです。
また、風が強いと草が飛ばされてしまうので、干すときは注意が必要です。
電子レンジで調理する
開封後、時間が経って品質が劣化します。
牧草の香りがなくなったり、古臭くなったりすると、うさぎが牧草だけ食べなくなることもあります。
電子レンジでチンすることで、牧草の水分が抜けてシャキッとし、香りも復活します。
注意点としては、電子レンジに入れた他の食品の臭いが牧草に移る可能性があること。
もうひとつは、熱くなりすぎると焦げる(発火する)危険性があることです。
この方法を使うときは、電子レンジが清潔であることを確認してから、なるべく短時間でおこないましょう。
レンチンの目安は600wで20~30秒。
加熱中はチリチリと音がするので、長時間の加熱は危険であることは直感的に理解できると思いますが、十分に注意が必要です。
うさぎが牧草だけ食べないときは対策を試そう
うさぎが牧草だけ食べない場合、最初に健康状態を確認しましょう。
健康状態に問題がない場合は、牧草が傷んでいる、好みではないなどの可能性があります。
うさぎの歯が伸びたり栄養が偏ったりしないよう、牧草を食べられるように工夫しましょう。
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