レビー小体型認知症の支援に関わる中で、多くのヘルパーが戸惑うのが「幻視」への対応です。
本人にははっきり見えているものが、周囲には見えないため、否定してよいのか、どう声をかければよいのか迷ってしまう場面も少なくありません。
幻視は珍しい症状ではなく、対応次第で本人の不安や混乱を大きく和らげることができます。
本記事では、医療的な説明に偏らず、日常の生活支援の中で実践できるレビー小体型認知症の幻視への対応方法を解説します。
ホームヘルパー2級(訪問介護員2級養成研修課程修了)。
訪問・デイサービス・介護施設を見てきた経験あり。
家族の介護経験も活かして記事を作ります。
レビー小体型認知症における幻視の特徴
幻視への対応を考えるうえで、まずはレビー小体型認知症に見られる幻視の特徴を知っておくことが重要です。
特徴を理解することで、無用な混乱や衝突を避けやすくなります。
本人には現実として見えている
レビー小体型認知症の幻視は、ぼんやりした錯覚ではなく、人物や動物、虫などがはっきり見えることが多いとされています。
そのため本人にとっては「見間違い」ではなく、現実そのものとして認識されている点が大きな特徴です。
この前提を理解しないまま対応すると、不安を強めてしまうことがあります。
時間帯や環境で出現しやすくなる
夕方以降や薄暗い場所、疲れているときなどに幻視が出やすくなる傾向があります。
これは本人の気の持ちようではなく、状態や環境による影響が大きいため、責めたり注意したりする対象ではないことを意識する必要があります。
レビー小体型認知症の幻視に戸惑いやすい理由
幻視への対応は、介護経験があっても難しく感じることがあります。
なぜ支援する側が戸惑いやすいのかを整理しておきましょう。
否定すべきか合わせるべきか迷う
幻視をそのまま肯定してよいのか、それとも現実を伝えるべきなのか、多くのヘルパーが悩むポイントです。
間違った対応をしてしまうのではないかという不安が、対応のぎこちなさにつながることもあります。
突然の訴えに驚いてしまう
「そこに人がいる」「天井から虫が落ちてくる」など、突然の訴えに驚き、つい強い口調になってしまうこともあります。
しかし、驚きや否定は、本人の恐怖心を増幅させる要因になりやすい点に注意が必要です。
レビー小体型認知症の幻視への基本的な対応姿勢
具体的な対処法を考える前に、大切にしたい基本姿勢があります。
この姿勢が、生活支援全体の質を左右します。
まずは気持ちを受け止める
幻視の内容そのものよりも、「怖い」「不安だ」という本人の感情に目を向けることが重要です。
「怖かったですね」「驚きますよね」と共感することで、安心感を与える対応につながります。
無理に正そうとしない
「そんなものはいない」と否定しても、本人の見え方は変わりません。
現実を理解させようとするよりも、落ち着いた状態に導くことを目的に関わることが大切です。
生活支援の中でできるレビー小体型認知症の幻視対応
幻視は、日常生活の工夫によって軽減されることもあります。
ここでは、実践しやすい生活支援の工夫を紹介します。
環境を整えて不安を減らす
部屋が暗かったり、影が多いと、幻視が出やすくなることがあります。
照明を調整したり、不要な物を減らすことで、幻視のきっかけを減らす支援が可能です。
注意を別の方向に向ける
幻視の話題に固執せず、「お茶にしましょう」「一緒に窓を開けてみましょう」といった声かけで注意をそらすことで、気持ちの切り替えを促すことができます。
レビー小体型認知症の幻視が強いときの関わり方
幻視が頻繁に出る時期や、不安が強いときには、より丁寧な関わりが求められます。
一人にしない配慮
幻視が強いときは、不安感が高まりやすくなります。
可能な範囲でそばにいる、声が届く位置で見守るなど、孤立感を減らす支援が安心につながります。
安心できる習慣を大切にする
決まった時間に同じ流れで過ごすことで、気持ちが安定しやすくなります。
生活リズムを整えることは、幻視への間接的な対応としても有効です。
介護者自身が疲れないための考え方
幻視への対応は精神的な負担が大きくなりがちです。
支援を続けるためには、自身の気持ちの整理も欠かせません。
正解を求めすぎない
幻視への対応に「これが絶対に正しい」という方法はありません。
その日の状態や関係性によって反応は変わります。
完璧を目指さない姿勢が、長く支援を続けるために重要です。
一人で抱え込まない
対応に悩んだときは、他の支援者や家族と情報を共有することで、視点が広がります。
支援はチームで行うものという意識を持つことが大切です。
まとめ:幻視への対応は安心を届ける生活支援
レビー小体型認知症の幻視への対応は、見えているものを否定することではなく、本人の不安を和らげることが目的です。
生活支援の工夫は、特別な技術よりも、気持ちに寄り添い、環境や関わり方を整えることにあります。
幻視があっても、その人らしい生活を続けられるよう、安心を届ける支援を積み重ねていきましょう。