マンションの大規模修繕工事では、施工業者から居住者に対して様々な要望が出されます。
工事期間中の注意事項だけではなく、ベランダの清掃や自宅待機のお願いなど様々な要望があります。
なかでも、「網戸を外してほしい」という要望が多いです。
理由は、屋外側からしか取り外すことが難しく、取り外した後はベランダに放置しない方が良いためです。
しかし、なぜ網戸を外す必要があるのでしょうか。
そこで、網戸の取り外しは義務なのか、取り外し方や保管方法について解説します。
マンションで取り外しが必要になるのはどこの網戸?
屋外側に設置されている網戸は、大規模修繕の際の撤去の対象です。
バルコニーの出窓(屋外に出られる大きな窓)の網戸、バルコニー以外の側の出窓の網戸、廊下側の網戸が該当します。
大規模修繕工事では、屋上や外壁などの屋外の共用部分が工事範囲となるため、工事範囲内の網戸は撤去の対象です。
なお、タワーマンションなど、強風で網戸が外れたり破損したりする恐れがある場所では、屋内側に網戸を設置することもあります。
屋内側であれば、工事箇所に支障はないため、網戸を撤去する必要はません。
マンションの大規模修繕で網戸の取り外しが必要な理由
網戸をはずす理由は、窓のまわりにシーリングという作業をするためです。
アルミなどの金属製のサッシとコンクリート壁の間を埋めるゴムのようなものです。
ゴム状であり、経年劣化します。
大規模修繕工事では、シーリングを交換(取替え)することが多いです。
新築マンションの場合、シーリング工事や塗装工事が完了してから網戸を設置します。
そのため、天井部分の工事をするためには、後から設置された網戸を取り外さなければなりません。
作業中に網戸を動かしても、中央部分だけでは作業できないため、網戸を外さなければなりません。
また、網戸のメッシュ部分はデリケートであり、工事中に破損する恐れがあります。
傷まないように保護すると、風や光を通さなくなり、網戸の機能を果たさなくなってしまうでしょう。
そのため、工事期間中に外してしまうのがベターです。
マンション大規模修繕で網戸を取り外すタイミング
網戸を外すタイミングは業者から通知されます。
各戸のバルコニー工事を行うため、業者は事前にアンケート調査を行い、工事日程を調整します。
工事を行う順番に、「いつまでに片付けと網戸の撤去をお願いします」というお知らせが各世帯に配布されます。
案内されたタイミングで網戸を撤去する必要があり、協力しないと工事の進行に支障が出るため、協力をしてもらいましょう。
マンション大規模修繕で網戸を取り外す方法
網戸を撤去する場合、業者がやってくれると思っている人が多いですが、基本的には自分で撤去しなければなりません。
網戸を外すためのネジが部屋の内側にあり、施工業者が部屋に入らなければ外せないため、基本的にには自分で外すことになります。
ドライバーを用意して室内からネジを緩めれば簡単に外せますが、どうしても外せない場合は業者に頼んで外してもらうこともできます。
取り外しに協力しないと、施工業者が強引に網戸を外し、網戸が歪んでしまうこともあるため、外し方がわからない場合は施工業者に連絡しましょう。
マンション大規模修繕中の網戸の保管方法
網戸を外せるのは良いのですが、収納場所や収納方法に疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
網戸の大きさはさまざまですが、小さいものではなく、収納方法や収納場所には不安を抱くものです。
網戸の保管方法
取り外した網戸を収納するために、通常は施工業者が専用の収納袋を用意してくれます。
用意されるのは大きなビニール袋で、取り外した網戸は収納袋に全体が収納され、網戸に付いたホコリやゴミが室内に入る心配はありません。
基本的には、網戸のサイズに合わせた収納袋が用意されます。
しかし、サイズが合わない場合は、すぐに別の収納袋を業者に依頼して用意してもらいましょう。
網戸の保管場所
大きな集会所などの設備があるマンションでは、集会所などを物置にしている場合もありますが、基本的には各家庭で保管します。
しかし、網戸は小さくはないため、屋内に収納スペースがない家庭では不便なこともあります。
使用料は別途かかりますが、工事期間中だけトランクルームを利用するなど、様々な収納方法があります。
網戸の収納場所についてはトラブルになるケースも多いため、事前にマンションの管理組合や施工業者と打ち合わせをしておきましょう。
マンション大規模修繕中に網戸の代用品
網戸を撤去して窓が開けられなくなると、外気が入ってこなくなり、室内の空気がよどんでしまいます。
大規模修繕工事では、バルコニー工事だけではなく、臭いや騒音などで一定期間窓を開けられないため、空気清浄機用意しておくとよいでしょう。
マンション大規模修繕で網戸を修理・交換した場合の費用
網戸の修理(張り替え)や交換は、施工業者の過失による場合を除き、基本的に自己負担となります。
マンションの窓に設置されている網戸は「個人の使用が認められている共用部分」であり、修理や張替えは自己負担です。
そこで、網戸の修理(張り替え)や交換費用の目安を種類別に紹介します。
網戸の交換費用目安
網戸に破れや穴があったら、網戸を外した時が張替えのタイミングです。
網戸の修理は基本的に自己責任ですが、張替えは安価です。
費用の目安としては、専門業者に依頼した場合、網戸のサイズで異なりますが、約5,000~7,000円です。
また、新しい網戸シートを用意し、ゴムを固定し、張り替え用の道具として網戸ローラーを使用すれば、自分で張り替えられます。
自分で網戸を張り替える場合の費用の目安は、3,000円~5,000円程度です。
網戸の修理(張替え)は自己負担になりますが、比較的リーズナブルに済みます。
網戸の修理費用目安
網戸が破れてしまった場合、網戸の張替えを希望される方もいると思いますが、網戸のグレードで張替え費用は異なります。
マンションでよく使われているステンレス製の網戸は約3万円~10万円で、取り付け工事に約5000円必要です。
有効な方法は、大規模修繕工事をしている業者に網戸の張替えを依頼することです。
しかし、見積もりが高すぎる場合は、他の専門業者に見積もりを依頼した方が良いでしょう。
マンション大規模修繕を行う際の注意点
マンション大規模修繕中は、窓の開閉や網戸の取り扱いについて注意すべきことがあります。
ここでは、マンション大規模修繕において窓や網戸に関連する注意点を2つ紹介します。
窓を開けられない期間がある
マンションの大規模修繕工事では、シーリング工事、防水工事、塗装工事などの際に、網戸の撤去やベランダ・バルコニーの清掃を行う必要があります。
しかし、換気のために窓を開けると虫が入ってくることもあり、窓を開けたくても開けられません。
工事計画によっては、工事期間中の1カ月以上、網戸を外さなければならないこともあります。
そのため、居住者とのトラブルにならないよう注意が必要です。
事前説明会で網戸や窓の開閉について周知
網戸を撤去している期間中は、作業員がベランダやバルコニーに入って工事を行うことがあるため、基本的に窓は開けられません。
バルコニー側の窓は網戸になりますが、工事時間帯や夜間でも虫が入ってくることを考えると、開けるのは難しいでしょう。
また、防水工事中はエアコンが使えなくなる可能性もあります。
窓を閉めてもエアコンを使えば快適に過ごせますが、特に夏場はエアコンが使えないと不快なだけではなく、健康にも悪影響を及ぼしかねません。
網戸を外すと窓が開けられなくなり、居住者にとってさまざまな不便が生じます。
もちろん、網戸の撤去のほかベランダやバルコニーの清掃は居住者の負担になり、高齢者のいる世帯では対応できないかもしれません。
そのため、大規模修繕工事に入る前には、事前に居住者向けに工事説明会を開催し、工事内容、なぜ網戸の撤去が必要なのか、業者からしっかりと説明をしてもらいましょう。
さらに、網戸の外し方、網戸の収納方法についても説明をしますが、状況によっては個別の対応が必要となる場合もあります。
大規模修繕は網戸の取り外し、ベランダの清掃だけではなく、臭いや大きな音が発生するものです。
洗濯物をベランダに干せない時期もあり、不便を感じることも多いでしょう。
そのため、工事期間や作業時間を明確に告知する必要があります。
大規模修繕工事を行う場合は、必ず経験豊富な専門業者に相談し、アドバイスを受けながらを進めるようにしましょう。