在宅で片麻痺のご家族を介護していると、もっとも難しいと感じる場面のひとつが入浴の介助です。
身体が清潔になると気持ちもリラックスしますが、濡れた浴室は転倒リスクが大きく、どの位置を支えれば良いか迷う場面も少なくありません。
また、右麻痺と左麻痺では体の動き方や支え方が大きく変わるため、同じ方法では安全に入浴できないこともあります。
この記事では、在宅介護の家族でも実践しやすい入浴方法を、片麻痺の側別に分けながら分かりやすく解説していきます。
さらに、片麻痺の特性を理解することで、介助者の負担も減り、本人にとっても安心して入れる時間に変わっていきます。
ホームヘルパー2級(訪問介護員2級養成研修課程修了)。
訪問・デイサービス・介護施設を見てきた経験あり。
家族の介護経験も活かして記事を作ります。
片麻痺の人の入浴方法を理解するうえで知っておきたい基本|右麻痺・左麻痺で違うポイント
片麻痺の方の入浴を安全に行うには、まず片麻痺の特性を正しく理解することが欠かせません。
右麻痺と左麻痺では、動かしやすい手足の位置が反対になります。
そのため、浴槽をまたぐ方向、介助者が立つ位置、手すりの使い方まで変わることを知っておく必要があります。
特に在宅の一般的な浴室はスペースが限られているため、動作の順番や身体の向きを工夫することで安全性が大きく高まります。
ここでは、右麻痺と左麻痺の違いを踏まえながら、入浴前に理解しておくべき重要なポイントをわかりやすく説明します。
片麻痺の特徴を踏まえた入浴時の動きの捉え方
片麻痺とは脳血管疾患などにより、体の片側に麻痺が残る状態を指します。
麻痺側は力が入りにくく、立位や歩行時に体重を支えにくくなります。
そのため、入浴時の最大のリスクは転倒であり、濡れて滑りやすい浴室ではなおさら注意が必要になります。
また、麻痺のある側は感覚も鈍く、痛みや温度を感じにくいため、湯温の確認や肌の変化にも注意が必要です。
麻痺側は動かしにくいだけでなく、「感じにくい」という特徴を忘れてはいけません。
その点を理解して介助すると、安心して入浴を続けられる環境に近づきます。
右麻痺の場合の入浴方法|動かしやすい左側を生かした介助の工夫
右麻痺の方は、左側に力が入りやすいため、左側を軸にして動きます。
浴槽をまたぐときも、椅子に座るときも、左側に手すりがあると動きが安定します。
右麻痺の方の場合、入浴動作全体を通じて「左側から支える」「左側に手すりを配置する」といった基本を押さえておくと、介助が大幅にスムーズになります。
ここでは、右麻痺の方を入浴させる際に知っておきたい実践的な方法を詳しく紹介します。
右麻痺の方が安全に浴室へ入るための動作と介助の流れ
右麻痺の場合、浴室へ入るときは左側の手すりを活用して一歩ずつゆっくり進むことが大切です。
介助者は麻痺側である右側に立ち、バランスを崩したときに支えられるように準備します。
濡れた床で体が傾くと転倒の危険があるため、麻痺側の膝がガクッと折れる可能性があることを常に想定して動く必要があります。
また、浴槽をまたぐときは、左足からまたぐよう誘導すると安定しやすく、自然な動作につながります。
浴槽の縁に腰を下ろすときも、麻痺側を支えながら、左手で手すりを握ってもらうことで安全性が高まります。
左麻痺の場合の入浴方法|動かしやすい右側を軸にした安全な動き方
左麻痺の方は右側の動きが安定しているため、右手で手すりを握る姿勢が取りやすく、浴槽に向かう動作が比較的スムーズです。
ただし、左側が不安定なため、立ち上がった瞬間や方向転換をするときにバランスを崩しやすい特徴があります。
ここでは、左麻痺の方が安全に入浴できるよう、動きに合わせた介助方法と工夫を解説します。
左麻痺の方の浴室での動きを安定させるためのポイント
左麻痺の方の浴室動作で注意したいのは、方向転換の瞬間です。
左側に重心が傾きやすく、見た目以上に体が流れやすいため、介助者は左側に立って支えながら進む必要があります。
浴槽をまたぐときは、右足からまたぐとバランスが取りやすく、自然に右手で手すりを使える姿勢になります。
また、左側の感覚が鈍いため湯温でのやけどに気づきにくい点を忘れてはいけません。
入浴前に必ず介助者が湯温をチェックし、入浴中もこまめに皮膚変化を観察しながら進めることが大切です。
片麻痺の方が入浴しやすくなる動作の工夫|身体の動きを理解した安全な介助法
右麻痺・左麻痺にかかわらず、在宅の浴室で動きやすくするためには、動作の流れを分かりやすく整理しながら進めることが大切です。
ここでは、麻痺側の違いを踏まえたうえで、共通して役立つ動作の工夫や、家庭でできる安全対策を紹介します。
入浴動作をスムーズにする「重心移動」の考え方
片麻痺の方の動きを見ると、健側(動かしやすい側)へ重心を乗せると安定しやすくなります。
そのため、浴室に入るときも浴槽をまたぐときも、まず健側に重心が移る姿勢を作ると、自然と動作が安定します。
麻痺側に重心が傾くと瞬時にバランスを崩すことがあるため、補助する側は常に立ち位置に気を配りながら支える必要があります。
また、椅子から立ち上がるときや浴槽から出るときも、健側にしっかり体重を乗せるよう導くことで、安全に次の動作へ移れます。
片麻痺の入浴で在宅家族が行える安全対策|転倒予防・湯温管理・環境づくり
在宅介護では設備が限られているため、少しの工夫が大きく安全性を左右します。
ここでは、転倒を防ぐための環境づくりや、湯温の管理、濡れた床で滑らないための注意点など、在宅の家族だからこそ気をつけたいポイントを紹介します。
浴室環境を整えて安全に入れる工夫
浴室は家庭ごとに形状が異なりますが、転倒を防ぐためにすぐにできる工夫は多くあります。
まず、浴室の入口から浴槽までの動線に障害物がないか確認し、濡れたタイルが滑りやすい場合は滑り止めマットを利用します。
また、手すりは麻痺側ではなく健側に設置すると使いやすくなる点を覚えておくと、動線づくりがスムーズになります。
さらに、入浴前には浴室を温めておくことで血圧の急激な変動を防ぎ、立ちくらみの予防にもつながります。
片麻痺の入浴は「麻痺側の理解」が安全性を高める鍵になる
右麻痺と左麻痺では、動かしやすい側と支えが必要な側が全く違います。
そのため、入浴方法も介助者の立ち位置も変わり、在宅介護ではその違いを理解することが安全な入浴につながります。
麻痺側の感覚低下や転倒リスクを理解し、動作の流れを一つひとつ丁寧に進めることが、安心して入浴を続けられる最大のポイントです。
在宅介護では設備が限られますが、手すりの配置、動作の順番、浴室環境を見直すだけでも安全性は大きく向上します。
介護者の負担も減り、本人にとっても気持ち良く入浴できる時間になります。
今日からできる小さな工夫を積み重ねながら、無理のない入浴介助を続けていきましょう。
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