不動産投資の会計の基礎であるバランスシートとはなにか、また、損益計算書についても解説します。
不動産投資のバランスシートとは
バランスシート(貸借対照表)とは、資産と負債の差額である資本を一覧で記載した報告書です。不動産投資のバランスシートでは、「資本+負債=資産」といった式となります。
内訳に関してはそれぞれ異なり、例えば2億円の不動産の場合、負債が1億5000万円と資本が5千万円といったケースなど様々です。
負債については「他人資本」ともいわれており、代金を支払っていない商品や仕入れ代金といった売掛金と借入金などもあり、どちらも債権者へ返済するものです。
資本については自分が用意した自己資金や貯めていた利益などを指し、債権者などへ返済する義務ないお金を指します。
負債を減少させたうえで不動産投資を実施すれば経営が安定する可能性が高くなりますが、資産規模を広げることは難しいでしょう。資産規模を広げるためには一定の危険を犯し、他人資本を導入する必要があります。
つまり、成長と安定の自己資本比率を検討することが重要です。資本と負債の合計金額が増加しなければ、資産額も変わりません。
不動産投資を実施すれば当然資産は減少します。例えば、2億円の不動産を購入すれば、必ず2億円預貯金が減るためです。
バランスシートの基本的なシステムを認識しておくことによって、不動産投資で負うことになるリスクや、規模の拡大は可能かどうかなど、具体的に金額を確認することが可能です。
合わせて確認すべき損益計算書とは
バランスシートでは一定の時点での負債や資本資産を表しますが、損益計算書は四半期や年度といった期間での費用や利益・損失を表示するものです。
損益計算書は「収益-費用=収益(損益)」という式で計算され、な収益として挙げられるものが売上高となります。
費用については売上高の源泉である材料や不動産の購入代金、加工費用などが計上される賃料売上、原価、人件費、管理費などに分けられることが一般的です。
借入金預金の利息といった金融収支については営業外収益とされます。
不動産投資を行った際の売上の多くは賃料収入です。
売上原価には不動産の管理委託費、清掃費、修繕費、水道光熱費の他、不動産取得税と固定資産税も計上されます。
不動産投資は、不動産は資産としてバランスシートに計上されるため、費用に含まれないことが特徴です。
ただし、付属備品や建物の減価償却費は売上原価に含まれています。
個人事業であれば販売管理費に計上する費用はほぼ無い状態であり、基本的に不動産投資の場合は多くの融資を受けることになるため、販売管理費ではなく借入金利息といった営業外費用を管理することが大切です。
総費用総収益から引いた収益や損失は、最後に当期利益損益として計上します。
まずは、税引前当期利益(損益)を算出したうえで、課税所得である法人税を計算して税引後当期利益を計算しましょう。
個人事業主の人は税引前当期利益(損益)を確定申告時に不動産所得として計上します。
不動産所得として計上し、配当などの所得と合わせて計算した金額から様々な控除を引き引いた額が課税所得です。
不動産投資は事業の一環であり、小規模であっても資産を取得し利益や損失が発生するものです。
そのため、バランスシートや損益計算書を見る方法や会計に関する基礎的なスキルを身に付けて、経営実態を数字で確認することが大切です。
キャッシュフロー計算書もチェック
キャッシュフロー計算書については損益計算書と併せて確認するケースが多いため、同時に確認しておく必要があります。
キャッシュフロー計算書とは、年間に増加した現金がどのような理由で発生したのかを確認する書類です。
不動産投資では家賃収入だけで現金が増加しているのであれば問題なく質の良い投資が行えていると判断できるものの、投資の際に原状回復費用といった設備投資も必要であるため、現金が減少するケースも珍しくありません。
さらに、現金を増やす方法として投資額を減少させ融資を増加させているのであれば、将来性がなかったり成長率が下がったりするリスクがあるため、銀行の印象も悪くなる可能性があります。
キャッシュフロー計算書とは不動産投資での実績を証明するための書類である点を、バランスシートや損益計算書の重要性とともに認識しておくと良いでしょう。
バランスシート(貸借対照表)の重要性
損益計算書は1年間の利益や損失を確認するための書類ですが、バランスシートは決算日当日の状況を把握するためのものです。
現時点での不動産投資に関する損益を明確にするという役割があるため、バランスシートの方が重要性は高いといえます。
バランスシートを作成する目的としては、決算日当日の財産状況を明確にすることであり、個人経営をしている場合には1月1日~12月31日までの事業年度で大晦日に財政状況を明確にすることが一般的です。
銀行がチェックする決算書のポイント
銀行は、決算書を通して、融資対象者が不動産投資を安定して行えているかどうかを確認します。
当然ですが、銀行は赤字になっている不動産投資家に融資を行いません。
主な理由としては貸し倒れのリスクを予防するためです。
そのため、最低でも3期連続で黒字経営を行っていることを証明しなければなりません。
災害などが原因で赤字になってしまうケースもありますが、一時的な赤字もしくは経営困難に陥り赤字になったわけではないことを証明できれば、融資を継続してもらえる可能性は高いでしょう。
バランスシートの作成方法
バランスシートは、慣れてしまえば非常に簡単に作成できます。まずは自身の資産をリストアップしましょう。
例えば、自家用車やマイホーム、投資信託、株式、現預金などです。
さらに、パソコンやテレビなど換金可能なものについては全てリストアップします。
次に、リストアップした物をどの程度の価格で売却できるのかをリサーチすることがポイントです。
いくらで売却できるのかは、買い取り業者などに査定を依頼するという方法で行います。
不動産会社、中古買い取り業者、ディーラーなどで買い取り価格を算出してもらうか、パソコンやテレビなどはインターネットオークションやリサイクルショップなどでリサーチしましょう。
すべての査定金額を合計することで、資産の合計金額を確認することが可能です。
そして、現在の借入金額の合計を計算します。クレジットカード会社、銀行から送付される明細書や返済予定表を確認することですぐに確認することが可能です。
借り入れ金額の残りが算出できたら、資産の合計金額から引くことで純資産を明確にできます。
バランスシートは右側に負債一覧、左側に資産一覧を書き出します。
資産(財産)については、1年以内に現金化できる流動資産のほか、固定資産を書き出しましょう。
負債(借入金)については1年以内に返済期限が迫っている流動負債と固定負債を書き、純資産は資産額で計算される余裕資産を指します。
株主が出資してくれることによる資本金や過去の利益力である利益余剰金なども含まれるバランスシートがあれば、余裕資産の割合によって財政が良好な状態であるかを確認できるため、自己資本の規模を示すものでもあるのです。
3カ月に1回バランスシートを作ろう
収益計算書を作成できれば、バランスシートの作成も簡単に行えます。現在ある資産の査定などには時間がかかるため、3ヶ月に1回程度が目安です。自身で、12月・3月など区切りをつけバランスシートを作成します。
もしも、不動産投資に問題があった場合でも、3ヶ月に1回バランスシートを使って見直すことによって早い段階で改善計画を立てられるため、リスク回避にもつながるでしょう。
不動産投資を始めるならプロに相談しよう
不動産投資をする場合、インターネットで収集できる情報だけでは限界があります。
また、失敗するリスクも高いでしょう。
そのため、プロに相談し、自分にとって最適な不動産投資方法をアドバイスしてもらったり、情報収集をしたりすることが重要です。
そこで、おすすめの仲介サービスや、気軽に参加できる無料のセミナーについて紹介します。