個人事業主が自分自身に給与を払うことができるのか、疑問を持つ人も多いでしょう。そこで、個人事業主の生活費はどう管理するべきか、会計処理の仕方も併せて解説します。
個人事業主に給与は支給できるか・・・?
個人事業主に給与は存在しないことについて解説します。
会社員との違い
・会社員であれば会社から一定の給与が支給されるが、個人事業主には給与という概念がなく、自分への報酬を経費にはできない
・事業で得た収入から、経費や生活費を捻出する
事業所得をすべて使えない
・事業所得のなかから、経費支払いの準備資金を用意しておく必要がある
・納税する分の資金も確保しておく必要がある
個人事業主の生活費はどうするべきか
個人事業主は法人とは異なり、生活費が一緒になっている場合が多いです。通帳を事業用と生活費用で分けることで区別できるが、支払いや入金の関係で、完全にこの2つを分けるのは難しいのです。
事業所得からお金を自由に引き出せるが帳簿をつける必要があります。
個人事業主の生活費の処理方法
個人事業主の生活費の帳簿の付け方について説明します。
事業主貸と処理する具体的な事例
・事業用のクレジットカードでプライベートで使う物品を購入した
・事業用の口座から生活費をおろした
・事業用の口座から個人の国民年金や保険料、税金を支払った
・事業用の口座から、自宅兼事務所の家賃や光熱費を支払った
生活費は「事業主貸」として処理する
・事業主貸とは、事業に関係の無い支出のことである
・生活費を引き出したり、事業の収支計算に関係ない支出をする場合に使われる勘定科目である
・事業主貸は、法人会計には存在せず、個人事業特有の勘定項目である
個人事業主の生活費に関する注意点
個人事業主の生活費は経費にはできません。事業主貸はいくらに設定しても問題なく、使い道は個人の自由です。ただし、売り上げに対して生活費が多すぎると、税務調査で他の収入があると疑われる恐れがあります。
配偶者の給与は経費にできる
・配偶者や家族が事業を手伝っている場合、家族従業員のことを専従者と呼ぶ
・経費にするためには、青色申告を行っていることと「青色事業専従者給与に関する届出書」の提出が必要
・白色申告でも専従者給与を経費として計上できるが、控除となり、専従者給与に上限が設けられる
事業用とプライベート用の口座を使い分けるのがおすすめ
事業主貸という勘定項目で処理することができますが、プライベートな出費があるたびに記帳をするのは面倒です。事業用とプライベート用の口座を分け、定期的に事業用の口座からプライベート用の口座へ生活費として移しておくと記帳の回数も少なくすむでしょう。
クレジットカードや交通系電子マネーのカードなども事業用と分けておくと、プライベート用が誤って必要経費として計上される心配がありません。
個人事業主の生活費を記帳しよう
個人事業主には給与は存在せず、自由に引き出して良いのです。税務調査で困らないためにも正しく帳簿をつけましょう。