パーキンソン病は、身体の動きが少しずつ不自由になる進行性の病気です。
手足の震えやこわばりといった症状だけでなく、病気が進むにつれて、食事を飲み込むことが難しくなる「嚥下障害」が起こることがあります。
嚥下障害は、食事が喉につかえるだけでなく、食べ物や唾液が誤って気管に入り込む「誤嚥」を引き起こし、最悪の場合、誤嚥性肺炎という命に関わる病気につながる危険性があります。
ご家族がパーキンソン病と診断され、嚥下障害に悩んでいる方は少なくありません。
この記事では、ホームヘルパーとして多くのパーキンソン病患者様と接してきた経験から、ご家族が安心して食事介助を行えるよう、誤嚥性肺炎を防ぐための食事介助のコツを、専門家の視点から分かりやすく解説します。
ホームヘルパー2級(訪問介護員2級養成研修課程修了)。
訪問・デイサービス・介護施設を見てきた経験あり。
家族の介護経験も活かして記事を作ります。
パーキンソン病 嚥下障害のサイン|誤嚥を防ぐための初期対応
パーキンソン病による嚥下障害は、少しずつ進行するため、初期のサインを見逃してしまうことがあります。
しかし、そのサインに早く気づき、適切な対応を始めることが、誤嚥性肺炎の予防には不可欠です。
ここでは、特に注意してほしい嚥下障害のサインと、初期段階で実践すべき対応についてお話しします。
食事中のこんなサインを見逃さないで
食事中にご本人がむせたり、咳き込んだりすることが増えたら、それは嚥下障害のサインかもしれません。
食事に時間がかかるようになったり、喉に食べ物が詰まったような声を出す、食後に痰がからむといった症状も注意が必要です。
また、食事中にボーっとしていたり、食事への集中力が続かない様子も、嚥下障害が始まっている可能性があります。
これらのサインに気づいたら、食事の仕方や食事内容を見直すタイミングです。
食事前の体操と口腔ケアで嚥下機能をサポート
嚥下機能をサポートするためには、食事前の準備が大切です。
食事の前に、首や肩のストレッチ、舌を左右上下に動かす体操、頬を膨らませる運動などを行うことで、嚥下に必要な筋肉を刺激できます。
また、食事前には必ず口腔ケアを行い、お口の中を清潔に保つことも重要です。
お口の中を清潔にすることで、細菌が肺に入るリスクを減らし、誤嚥性肺炎の予防につながります。
\\飲み物やスープにとろみをつけることで、誤嚥を防ぐことができます。
無味無臭のものが多く、食事の味を損なうことなく安全に水分補給ができます。//
\\少量ずつ食べ物をすくいやすく、一口の量を調整することで、食事介助の負担を軽減します。//
\\お口の中を清潔に保つための専用ブラシです。歯ブラシが難しい方でも、スポンジで優しく歯茎や舌をケアできます//
安全な食事介助のコツ|姿勢と環境を整えて誤嚥を防ぐ
安全な食事のためには、食事介助の方法だけでなく、ご本人の姿勢や食事の環境を整えることが非常に重要です。
適切な環境づくりと介助方法を知ることで、誤嚥のリスクを大幅に減らすことができます。
誤嚥を防ぐ!食事時の正しい姿勢
食事介助で最も大切なのは、ご本人の正しい姿勢を保つことです。
椅子に深く腰掛けてもらい、足の裏が床にしっかりつくようにしましょう。
背筋を伸ばし、顎を軽く引いた状態が理想的です。
この姿勢は、食べ物が食道へとスムーズに流れるのを助け、気管に入り込むのを防ぎます。
ベッド上で食事をする場合は、上半身をできるだけ起こし、同じように顎を引く姿勢を意識しましょう。
食事介助のポイントと声かけの工夫
介助者は、ご本人の正面ではなく、少し斜め前の位置に座ることで、ご本人の表情や嚥下の様子を常に確認できます。
一口の量は少なめに、ゆっくりと口に運ぶことが大切です。
「飲み込みましたか?」と声かけを行い、完全に飲み込んだことを確認してから、次の一口を渡すようにしましょう。
食事中は、なるべく話しかけず、食事に集中してもらうことも大切です。
食事内容の工夫|安全に美味しく食べる介助食の作り方
嚥下障害があるからといって、食事の楽しみを奪う必要はありません。
食事内容を工夫することで、安全に、そして美味しく食べることができます。
ここでは、パーキンソン病の嚥下障害に対応した食事介助のコツと、介助食の作り方についてお話しします。
飲み込みやすい食材と調理方法
飲み込みやすい食事のポイントは、「やわらかい」「まとまりやすい」「口の中でバラバラにならない」ことです。
魚や豆腐、卵料理は、やわらかく調理しやすくおすすめです。
野菜は、繊維を断ち切るように細かく刻んだり、とろみのあるあんかけにしたりすると、飲み込みやすくなります。
お肉はひき肉にするか、時間をかけて煮込んでやわらかくしましょう。
市販の介護食品も上手に活用しよう
毎回、嚥下障害に対応した食事を作るのは、ご家族にとって大きな負担です。
市販の介護食品やレトルト食品は、栄養バランスが考慮され、安全に食べられるように工夫されています。
種類も豊富なので、ご本人の好みに合わせて選ぶことができます。
\\食材にとろみをつけるだけでなく、水分を調整して飲み込みやすい状態に保つことができます//
パーキンソン病と向き合うご家族へ
パーキンソン病の嚥下障害は、ご本人にとって食事の楽しみを奪うだけでなく、ご家族にとっても大きな不安や負担となります。
しかし、適切な知識と少しの工夫で、そのリスクを減らし、食事の時間を再び笑顔の時間に変えることは可能です。
この記事でご紹介した食事介助のコツが、ご本人とご家族の安心した食事のサポートとなれば幸いです。
もし、一人で悩みを抱え込まず、専門家や地域のサービスを積極的に頼ってください。
あなたの心のゆとりが、ご本人の笑顔につながります。