スクワットは下半身の筋肉を強化するためのトレーニングであり、腹筋には効果的ではないと考える人も多いのではないでしょうか。
しかし、スクワットは非常に強度の高いトレーニングであり、腹筋にもアプローチできることが特徴です。
そこで、スクワットで得られる効果や鍛えられる筋肉の種類、負荷が大きく効果的なスクワットのやり方について詳しく解説します。
スクワットで腹筋が割れる理由
腹筋を割るうえで、スクワットはどのような役割を果たすのでしょうか。また、どの程度効果的なのかを解説します。
腹筋を割るには
そもそも腹筋を割るためには、腹筋の筋肉を肥大させることと体脂肪を落とすことの2点が重要です。
ただし、腹筋のトレーニングは腹筋の肥大には効果的ですが、脂肪を落とすうえでは腹筋トレーニングよりもスクワットの方が有効だといえます。
その理由は、スクワットの方が消費カロリーが大きく、より多くの筋肉を1度に刺激できるからです。
そこで、腹筋トレーニングよりもスクワットの方が何倍消費カロリーが大きいのかをチェックしておきましょう。
スクワットは腹筋の1.3倍痩せる
運動を行うことによる効果・強度を表す基準として、METs(メッツ)と呼ばれる指標が定められています。
METsは「Metabolic equivalents」の略称であり、平常時を「1」とした場合、平常時と比較して消費するエネルギー量が何倍であるかを算出し、運動の強度を「METs」単位で表したものです。
METsでは、腹筋運動が「3.8METs」、スクワットは「5.0METs」であり、スクワットの方がエネルギー消費量が多いことが分かります。
腹筋を行うことでアプローチできる筋肉も沢山ありますが、より効率良くエネルギーを消費したい、強度の高い運動をしたいという場合には、スクワットをした方が効率的だといえるでしょう。
スクワットで鍛えられる筋肉
スクワットで鍛えられる主な筋肉は、お尻の部分にある「大臀筋」と、太ももの前側である「大腿四頭筋」、太ももの裏に位置する「ハムストリングス」などが挙げられます。
さらに、ふくらはぎにある「腓腹筋」「ヒラメ筋」、背中にある「脊柱起立筋」も鍛えられるトレーニングです。
スクワットで鍛えられる主な筋肉がある位置と筋肉の大きさ、どのような動きをする際に使われる筋肉なのかについて解説します。
お尻(大臀筋)
大臀筋とは、お尻の後ろに存在する筋肉であり、大腿四頭筋と比較すると厚みがあり短いことが特徴です。
そのため、鍛えることでヒップアップ効果が期待できます。
大臀筋は、膝を外側に向ける動作と脚を後ろに伸ばす動きに使う筋肉であるため、後ろに脚を上げる動きをすることで大臀筋をトレーニングすることが可能です。
太ももの前側(大腿四頭筋)
大腿四頭筋とは、太ももの前に位置する筋肉であり、身体のなかでも最も大きい筋肉です。大腿直筋、外側広筋、内側広筋、中間広筋と呼ばれる4種類の筋肉から成っており、膝を伸ばす際に使われます。
走る、歩くといった基本の動きから、階段の昇り降りや椅子に座る、立つといった日常的な動きに重要な筋肉だといえるでしょう。
太ももの裏(ハムストリングス)
ハムストリングスは、太ももの裏に位置する筋肉であり、大腿二頭筋、半膜様筋、半腱様筋と3種類の筋肉の総称です。
3つの筋肉の総称であるため範囲は広く、膝を曲げたり、股関節を動かしたりする際に使われます。
ふくらはぎ(ひふく筋・ヒラメ筋)
ふくらはぎにある筋肉は、腓腹筋とヒラメ筋の2種類を指します。
腓腹筋とヒラメ筋は、共に関節を曲げ伸ばしする動きを支えている筋肉です。
また、腓腹筋は二関節筋とも呼ばれており、脚と膝の両方の関節の動きに関わっています。
短距離走やジャンプで使われ、バレーボールやバスケットボールといったスポーツをする人は鍛えておくべき筋肉だといえるでしょう。
背中(脊柱起立筋)
脊柱起立筋とは、脊柱から順に棘筋、最長筋、腸肋筋と3種類の筋肉を指します。
それぞれ異なる筋肉ですが同様の役割を果たしており、1つの筋肉のように使われることから、脊柱起立筋と称されていることが特徴です。
主に、座ったり立ったりした状態で上半身の姿勢を維持する、上半身を伸ばす、反るといった動作に使います。
デスクワークをしていて背中が痛い時は、脊柱起立筋が衰えていたり疲れていたりするサインです。
正しいスクワットのやり方
スクワットは腹筋を割ったり、ダイエットに効果的であったりとメリットの多い運動です。
ただし、間違ったフォームで取り組むと効果が半減するため、正しい方法で行いましょう。特に、上半身を安定させ、背中を丸めたり反ったりせず姿勢をただすことが大切です。
また、膝を内側に入れないこと、股関節をしっかり曲げることも意識しましょう。
スクワットには様々な種類がありますが、下半身だけではなく腹筋も鍛えたい、毎日行うのは難しいという人も多いでしょう。
そこで、少ない回数でも十分な効果を得やすい、特に負荷が大きい種類のスクワットを7つ紹介します。
ジャンピング・スクワット
通常のノーマルスクワットにジャンプを加えることによって、下半身に負荷をかけて効率的に鍛えられます。
ジャンプを取り入れたスクワットは腹筋にも力を入れるため、腹筋と大腿四頭筋へ同時にアプローチできることがメリットです。
1.肩幅の広さに足を開いて、姿勢を正してポジションをセットする
2.両手は腕の前で組んで背筋を伸ばす
3.膝を曲げながら、ゆっくり身体を落とす
4.床と太ももが平行になったところで、地面を蹴るようなイメージでジャンプする
1~4の流れを10回行い、30秒休憩して2セット行いましょう。ジャンピングスクワットは10回1セット、1日3セットを目安に行います。負荷が高いスクワットである分、腓腹筋やヒラメ筋へのアプローチに効果的です。
シングルレッグスクワット
片脚をベンチに乗せて行う方法であり、脚に負荷をかけて引き締めるスクワットです。大臀筋や大腿四頭筋に効果的なため、ヒップアップや太もものダイエットをしたい人に適しています。
2.椅子と脚の距離は、自分の脚程度の長さに調整する
3.膝を曲げて片脚を乗せ、乗せていない方の脚をゆっくり曲げる
4.大腿四頭筋が収縮したと感じる所で止めて、ゆっくり元に戻す
1~4の流れを10回行い、30秒休憩して2セット行いましょう。
シングルレッグスクワットは、左右それぞれ20回ずつ、1日3セットが目安です。トレーニングの効果を実感するためにも、30秒間の休憩をはさんで行うことを忘れないようにしましょう。
シングルレッグスクワットをする際に重要なポイントは、椅子やベンチに乗せている脚に力を入れないことです。
力を入れてスクワットをするとバランスが悪くなり、アプローチしたい筋肉へ刺激が伝わらないため注意しましょう。
シシー・スクワット
通常のスクワットは、太ももの前部分にアプローチするケースが多いです。しかし、シシー・スクワットは太ももの裏の筋肉を引き締めたい場合に有効な方法だといえます。
2.テーブルといった体を支える物に手を乗せる
3.膝を少しだけ曲げ、体は後ろに反らす
4.背筋を伸ばし、膝を曲げながら体を落とす
5.45度まで膝を曲げたら、ゆっくり元の姿勢に戻る
1~4の流れを20回行い、30秒休憩して2セット行いましょう。日頃使用しない筋肉にアプローチするため、スクワットをする前にストレッチをして怪我の予防を行うことも大切です。
シシー・スクワットをする際のポイントは、大腿四頭筋と背中に意識を集中することであり、意識して行うことで効率良く筋肥大を促せるでしょう。
ピストルスクワット
.
ピストルスクワットは支えになる台やテーブルなどを使用せず、片脚は浮いた状態で行うスクワットです。難易度は高いものの、負荷が大きいので効率良く筋肉を鍛えられます。
ただし、負荷が大きい分、正しい方法で行わなければ怪我をする可能性が高いです。
2.両手も前に出す
3.床と太ももが平行になる位置まで下げて姿勢を維持
4.ゆっくり体を上げる
1~4の流れを10回行い、30秒休憩して2セット行いましょう。ピストルスクワットに慣れるまでは10回行うのではなく、5回程度であっても正しいフォームで行うことが大切です。
スクワットをする際には大腿四頭筋を意識します。また、負荷が高いためストレッチをしてから行うことも忘れないようにしましょう。
スプリット・スクワット
ノーマルスクワットでは物足りない人に最適なスクワットの種類であり、身体をしっかり落とすことが特徴のため大腿四頭筋と大臀筋へ効率良くアプローチできます。
2.前に出した脚の膝を曲げて、身体を下ろす
3.太ももと地面が平行になる位置で姿勢をキープ
4.膝を伸ばして元の姿勢に戻る
1~4の流れを20回行い、30秒休憩してから2セット行いましょう。スプリットスクワットをする際には膝を正面に向け、内側や外側へ向けないようにすることが大切です。
また、両足の間隔を広くすると、よりしっかりと筋肉へアプローチできます。
ダンベルスクワット
ノーマルスクワットにダンベルで負荷を加えたトレーニング方法であり、フォームそのものはノーマルスクワットと変わりません。
しかし、ダンベルを持つことで筋肉に負荷がかかるため、効率良く筋肉を引き締めることにつながります。
また、バランスが崩れやすいので、初心者は正しい姿勢を維持できているかを確認しながら行うことも大切です。
2.姿勢を正し、つま先よりも膝が出ないように意識しながら身体をゆっくり下げる
3.お尻と膝の高さが揃う位置で止め、すぐに元に戻す
4.お尻が同じくらいの高さになったら止める
1~4の流れを20回行い、1分半休憩して2セット行いましょう。ただし、初心者は無理をしないよう、10~15回1セットとして行う方法も有効です。
ダンベルスクワットをする際には、ダンベルに体を持って行かれないようにすることだといえます。
無理にダンベルを持とうとすると体幹がずれてフォームが崩れるため注意しましょう。
バーベルフロントスクワット
ダンベルスクワットと同じく、重さを加えることで効率良く筋肉を鍛えるためのスクワットです。背中の筋肉にアプローチでき、体幹を鍛えることにもつながります。
2.肩幅くらいに足を開いたら、背中を少し反らす
3.地面と太ももが並行になる位置まで下げる
4.膝が伸びきらない位置まで持ち上げる
1~4の流れを20回行い、3分休憩して2セット行いましょう。最も負荷が大きなスクワットであり、引き締め効果以上に、体脂肪を減らしたい、体幹を強化したい、筋肉量を増やしたいという人に適しています。
自分の欲しい効果に合わせてスクワットの種類を選びましょう。
スクワットの効果
スクワットで多くの筋肉を使い、カロリーを消費するという以外にも得られる効果は沢山あります。そこで、特に注目したいスクワットの効果について見ていきましょう。
猫背・肩こり・腰痛の解消
腰の筋肉を鍛えると姿勢が安定するため、骨盤の筋肉できるだけではなく体幹を鍛える際にも効果的です。体幹を鍛えることで姿勢が矯正され、猫背を直すことにもつながります。
また、スクワットの基本ポジションは胸を張って姿勢を正すため、毎日スクワットをすると自然と姿勢が良くなり、より効率的に体幹を鍛えられるでしょう。
美しい太ももヒップ作り
スクワットをすると、太ももの後ろにある3つの筋肉であるハムストリングを鍛えられます。
しゃがむ、立ち上がるといった動作に使われる部位で、スクワットをする際には大殿筋や中殿筋とともに動きをサポートすることが特徴です。
ハムストリングを強化することで太ももとヒップラインを引き締め、脚を長く見せる効果も期待できます。
腹筋ローラーにもチャレンジ
スクワットで下半身のトレーニングをしたら、全身を効率良く鍛えられる腹筋ローラーに挑戦する方法が有効です。腹筋ローラーは腹筋、背筋など多くの筋肉を鍛えられるため、スクワットに慣れてからチャレンジすると良いでしょう。
スクワットのほか食事やサプリも有効
スクワットをすることで筋肉を引き締め、代謝を促進する効果が期待できます。
また、脂肪を落とすという意味では、食事を低カロリー高タンパクに変える、プロテインやHMBのサプリメントを使うことも効果的です。
いずれの方法もすぐに効果が現れるものではありません。そのため、無理をせずに継続して行いましょう。
|