オンラインゲームでの初会話
「本当にリアルタイムで話してる!」という感覚。まるで、遠い国の誰かと糸電話でつながったような、不思議で温かい瞬間でした。
オンラインゲームの中での会話は、驚くほど自然で楽しく、私の中の“少女心”を久々にくすぐりました。
ゲームをしながら笑い合い、ちょっとしたミスを茶化し合い、時には真剣な相談までできる。それは、これまでの文字だけのやり取りとはまた違う“生きたつながり”を感じさせてくれました。
お互いの写真を送り合う
そんなある日、彼が「ネットにはたくさん騙された経験がある。だからこそ、君のことは信じたい」というようなことを、何回か言う日がありました。
直接は言わなかったけれど、彼の言葉の裏に「写真が欲しい」という気配がにじんでいたのです。
私は、無加工の自撮り写真を送りました。彼もすぐに写真を送ってくれて、お互いに「プロフィール写真そのままだね」と確認。少し照れながらも、それは安心感を伴ったやり取りでした。
声も聞いた、顔も見た。そこに芽生えるのは、“恋愛の気配”というには少し照れくさい感情。
でも確かに特別な”何か”
言語交換アプリでは、ログインすると「ログイン中」「○時間前にログイン」など、プロフィールにログイン情報が表示されます。
彼は、私が起きて言語交換アプリにログインすると、「おはよう」とハグマーク付きで送ってくる、私もそれに「おはよう」とハグマーク付きで返信するという日々が続きました。
彼が私の興味がありそうなインスタグラムの投稿をシェアして、それについて話をしていく・・・というのが日課でした。
そして、「一緒にお風呂に入る」「一緒に寝る」「一緒に暮らすかも」など、お互いにはっきりは言わないけれど、会話からお互いに同じことを考えていることが分かるような、やり取り・・・。
これが少しずつ濃くなり、数か月間続きました。
”特別な何か”。
大人の方なら分かりますよね!?(笑)
そう、付き合う一歩手前の、あのやりとり、あの空気ですよ。あれ、楽しいですよね~。
——「もしかして、この人と付き合うことになるのかも?」——そんな空気が、ふわりと立ちのぼりはじめていたのです。
小さな違和感の芽生え
けれど、同時に「ん?」と思うことも、ぽつぽつと起こり始めていました。
でもその時の私は、「それも彼の不器用さなんだろう」と解釈していたのです。
後から思えば、あの小さな“違和感”が、すれ違いの序章だったのでしょう。
会話のズレ、ストレス連呼の疲労感
次第に、彼のメッセージは“愚痴”の割合が増えていきました。
彼は日本への移住準備をしていたのですが、その計画性のなさには正直驚かされました。
日本語の勉強はほとんど進めておらず、家探しは渡航の1カ月前にようやく始めるような状態。
何度も、「やる気が出ない」「誰かにやる気を出させてほしい」と言う彼に、私は少しずつ疲れを感じ始めていました。
言語交換アプリのプロフィールにも、「勉強させるような気持ちにさせてくれる言語パートナーが欲しい」と書いている始末。
最初は「支えてあげたい」という気持ちが強かったのに、いつのまにか“エネルギーを吸い取られている”ような感覚になっていたのです。
一言だけの返信
彼の返信は、徐々にとても短くなりました。「うん」「たぶん」……そんな言葉が並ぶだけ。
話を続けたくても、これではどうにも広げられません。私があえて返信をしないと、数時間後、あるいは翌日に、別の話題を「追いメッセージ」して来る。これが習慣化していきました。
こうして私は、自分が返信をしてもしなくても、“彼の次の言葉を待つ人”になっていったのです。
待つことが癖になってしまった。それがどれほど消耗することか、当時の私はまだ気づいていませんでした。
⇒⇒【続き:第3章】
【実話】言語交換アプリでの恋|第3部:現実との接触—移住とその後の違和感|恋と好奇心の代償シリーズ
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