親しさが増す過程
「この人、毎日こんなにメッセージを送ってくるのか」――初めは驚きでした。けれど、そのやり取りは不思議な心地よさを持っていて、気づけば日常に組み込まれていました。
私はフリーランスで在宅仕事、彼は元軍人で障害年金暮らしという“時間の余裕”が共通点。
毎日、まるで手紙のような長文を送り合っては、お互いのことを少しずつ語る。それはまるで、見えない糸で静かにつながっていくような感覚でした。
彼のストレスと弱さに共感してしまった話
ある日、彼がぽつりと家庭の話をしてきました。両親との関係、子どもの頃に感じた孤独、社会で受けた偏見や葛藤。重たい話のはずなのに、どこか私にはなじみのある内容でした。
私自身、家庭に少し複雑な事情があり、心に「共鳴」する場所があったのだと思います。
「この人、ちゃんと傷ついたことがあるんだ」
「だから、誰かにわかってほしいのかもしれない」
そんな風に感じた私は、知らず知らずのうちに、彼に“寄り添う存在”であろうとしていました。
私の心の中にあったのは、「癒してあげたい」「この人にだけは自分の優しさを惜しまず注いでもいいのかもしれない」という不思議な感情でした。それは恋とは違う。でも、恋に見えるものでもありました。
私の中で「守ってあげたい」が強くなっていた頃
心を開いてくれた。そう思っていました。けれど、今になって考えると、あれは「開いているように見せていただけ」だったのかもしれません。
彼自身がそれを計算していたわけではないでしょう。
ただ、自分の過去や心の傷を語ることで、私の心を引き寄せていました。
心理学で言うところの「急激な自己開示」――信頼関係が未熟な段階での深すぎる打ち明け話は、ときに危険な親密さを生んでしまうのです。
私の中では、確実に「守りたい」「もっと知りたい」が強くなっていました。
でも、ふと思ったのです。
この人は私に何を与えてくれているのだろう?
答えは曖昧でした。
まだその時点では、「幻想の中の彼に対する優しさ」が心地よくて、身を委ねていたのかもしれません。
⇒⇒【続き:第2章】
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